監督、製作
オートバイ・レースに命を賭ける男たちの情熱と栄光を、世界各地で開かれているさまざまなレースを通じて描くドキュメンタリー編。製作・監督は、サーフィンの世界を描いた「終りなき夏」のブルース・ブラウン、撮影はボブ・バグレーほか2人のカメラマンが当たり、音楽はドミニク・フロンティア、編集はドン・シューメーカーが各々担当。スピード狂として知られるスティーブ・マックィーンが出演している。
ストーリー
オート・レースといっても、これは自動車ではない。オートバイとかモーターサイクルとか単車とかいわれる物に生命を賭けた最も危険なスポーツである。/マート・ローウィル29歳。昨シーズン、27の公式レースの通算による全米ランキング第1位を獲得している。サンフランシスコに住む彼は1年のうち8カ月を旅にでて、アメリカ全土を廻る。シーズン通算第1位になるためには、マシンもテクニックもまるで違う5種類のレースをこなさなければならない。/レースには事故がつきものである。オートバイは身体をさらしているだけに、自動車よりも大事故になりやすい。キース・マシュバーンは柵を突き破ってもんどりうったが10分後に意識を回復、さらに10分後にはレースに復帰した。フランク・ギレスビーは肩を骨折し、2週間後、骨折のままレースに出場した。プロ・レーサーにはこれだけの気迫と体力が必要である。/スピードを競うデイトナ200マイル・レース、見た目は派手なロードレースの中でも、フロリダ州デイトナ・ビーチのものはことに有名である。マートはこれに直線で時速210キロ、カーブで160キロをマークした。レースが終わると、彼自ら車を分解、点検する。行き届いた整備が次の勝利につながるのだ。/クロス・カントリーはテクニックの勝負 オハイオ州コロンバスのクロス・カントリー。マートはこれにも出場する。サンフランシスコからコロンバスまで彼は助手と共に徹夜で走ってきて、レース直前、1時間コースを試走し、作戦を練る。ここでは彼は2年連続優勝している。今度勝つと6000ドルの賞金と60点の得点が獲得できて、通算第1位の有力な足がためとなる。/妙味たっぷりのモトクロス・レース 日曜ごとに行なわれるモトクロスと呼ばれるレースは、公式レースとはまるで違った光景を現出する。プロもアマも参加して、岩だらけの泥道を登ったり、下ったり、道が悪ければ悪いほど面白がられるという文字通りの“泥試合”。これにはスティーブ・マックィーンもライダーの1人として出場している。/オートバイのオリンピック 6日間に渡る国際ラリーがスペインのマドリッドに近いエル・エスコリアルで行なわれる。世界16カ国から348人の選手が参加するオートバイのオリンピックである。日曜レーサーの代表マルコム・スミスが出場し、毎日およそ320キロを6日間連続して走り、チェック・ポイントに、定められた時間に入る。コースは海抜500メートルから2500メートルにおよび、3分の2が雲海に包まれ、気温は30度から零下10度近くにまでなる。運転技術、体力、機械への精通、全てに卓越していて、6日間、どんなに疲れていてもミスしなかった者の上に金メダルは輝く。マルコムは3回目の優勝を飾った。/新チャンピオン誕生の瞬間 カルフォルニア州サクラメント。1周1600メートルのコースで今シーズンの総合優勝が決定される。優勝圏内のアン、アルデナ、ロメロたちにとっては賞金よりも得点の方が重要である。その栄冠は見事ジーン・ロメロに輝いた。レースはきびしい。だが、オートバイは楽しい。彼らはその魅力にとりつかれ、日曜ごとにオートバイと共に走り続ける。