ダニエル・オルブリフスキ
Boleslaw
ポーランド中央部の小さな町を舞台に、妻の死を引きずりながらひっそりと生きる森林監視人の姿を描く。監督は「ダントン」のアンジェイ・ワイダ、原作・脚本はヤロスラフ・イヴァシュキェヴィッチ、撮影はジグムント・サモシウク、音楽はアンジェイ・コジンスキが担当。出演はダニエル・オルブリフスキほか。
1930年代初め、独立を果たしたポーランドの首都ワルシャワは、ビウスツキの独裁政治のもとで、絶え間なく続く政治的不安と経済的危機という現実の中で、退廃的な空気に包まれていた。そんな時代下に都会から離れた林の中でひっそりと暮らしている若者がいた。森林監視人を勤めるボレック(ダニエル・オルブリフスキ)だ。彼は一年ほど前に、美しく優しかった妻を亡くし、娘オーラ(エリジビエタ・ゾレク)と、まるで妻の喪に服しているかのように、つましく日々を過ごしている。ボレックの家と同じ敷地内に農夫の一家が住んでいて、そこには年頃の娘マリーナ(エミリア・クラコフスカ)がいた。復活祭を間ぢかにひかえた四月のある日、ボレックの弟スタシオ(オルギエルト・ウカシェヴィッチ)が数年ぶりに帰って来た。彼はスイス留学中に胸を病み、回復する見込みのないまま、医師のすすめで、この空気のよい故郷に来たのだ。ボレックの変わりように驚きながら、自分も死の恐怖からあえて快活にふるまっていた。自分の命が残りわずかであることをボレックに打ち明けても、ボレックの表情は驚く様子もない。スタシオは、初めてマリーナと出会う。ある日、スタシオは、白樺の林の中にひっそりと立つボレックの妻の墓を見つけた。妻が愛した白樺の林の中に妻を葬ったボレックの彼女への愛の強さに打たれるスタシオ。死期が近づくに従って、スタシオはマリーナへの愛を募らせ、マリーナもそれに応えた。しかしマリーナには、彼女の兄の仕事仲間でミハウ(マレック・ペレペチコ)という婚約者がいることをスタシオは知った。しかも、そのミハウは、以前、ボレックの妻と何かあったらしい。スタシオは、復活祭の日、納屋でマリーナと抱き合った。死の床に伏して、スタシオは、いま白樺の林の中に身を横たえているかのような自分を感じた。白樺の林の中に、二本の十字架が立っている。妻と弟に別れを告げにやって来たボレックは、そこでマリーナに会う。彼女はこれかれはミハウとの生活を始めると言う。オーラを抱きこの地を去るボレックの姿があった。
Boleslaw
Stanislaw
Malina
Ola
Michal
Janek
監督
脚本、原作
撮影
音楽
美術
編集
字幕
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