ラマーズ・ギオルゴビアーニ
Niko
ソビエト連邦の共和国の一つグルジアの自然豊かな町を舞台にワイン工場で働く若者たちの日常を描く。監督はオタール・イオセリアーニ、脚本はA・チチナーゼ、撮影はA・マイスラーゼ、音楽はN・イオセリアーニ、美術はD・エリスターヴィが各々担当。出演はラマーズ・ギオルゴビアーニ、マリナ・カルツィワーゼ、ゲオルギー・ハラバーゼなど。
グルジアの人々の生活源は、自然豊かな土地を利用した葡萄づくりと、その葡萄から加工されるワインである。秋はその収穫の季節。ニコ(ラマーズ・ギオルゴビアーニ)は、ワイン工場の若い技術者である。まじめな人柄は、工場の人々の信頼を得ていた。ニコは、研究室に勤める美しい娘マリナ(マリナ・カルツィワーゼ)に惹かれていたが、彼女のまわりには、幾人もの男性がつきまとっていた。工場が休みの日は、若者たちは、それぞれ自由にエネルギーを発散する。バスの中でマリナを見かけたニコは、彼女の方も誠実なニコに気があることを感じ取るのだった。一方、工場ではやっかいな問題が起きていた。ワインの質の向上よりも生産量をあげようと計っている工場側はまだ酸味の残るワインをびん詰めにして出そうとしていた。労働者たちはこの工場側の方針に異議をとなえた。ニコは、率先して立ち上がった。抗議するニコたちに、工場側の態度は冷たい。そこで、ニコは実力行使に出た。工場にあるワインの樽にゼラチンを入れて固めてしまったのだ。びん詰めにできないことであわてた工場側は憤慨するが、ニコのこの思いきった勇気と信念には、屈するしかないのだった。
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