ソニア・ブラガ
Dona Flor
几帳面でやさしい夫とくらしているドナ・フロールの前に、遊び好きだった前夫の亡霊が現われた。ラテン・アメリカでは有数の作家であるホルヘ・アマドの小説に基づいて、監督のブルーノ・バレトが脚色したファンタスティック・コメディで、ブラジル映画としては海外で最も知られている映画の一つといっていいだろう。製作は監督の父であるルイス・カルロス・バレトとニュートン・リケ、チア・セラドールの共同。撮影はマウリロ・サレス、音楽はチコ・バルケが担当。出演はソニア・ブラガ、ホセ・ウィルケル、マウロ・メンドンサなど。本国での原題は“Dona Flore Seus Dois Maridos”。日本では英語版で上映。
43年2月末。ブラジルの小都市バヒアの街は、朝からカーニヴァルでにぎわっていた。その中でも、最も騒いでいたバジーニョ(ホセ・ウィルケル)が突然死亡した。心臓発作だった。彼の遺体に抱きつく妻のドナ・フロール(ソニア・ブラガ)。葬儀がおこなわれ、その席で彼女の母や友人は「八年間、お前を苦しめた男が死んだんだ。今度こそ幸福になるのよ」というのだった。ドナ・フロールは回想する。結婚式が終り、彼女を情熱的に愛したあとバジーニョは、こっそり家を技け出し、カジノで賭け、そのあと娼家に行き騒いで帰って来なかった。飲む、打つ、買うの三拍子そろった遊び人だったが、セックスは抜群にうまく彼女はいくども恍惚状態を経験したものだった。バジーニョが死んでから一年がたち、喪に服していたドナ・フロールも、そろそろ身体の疼きをおばえ出した。そんな頃、中年の薬剤師テオドロ(マウロ・メンドンサ)が、彼女にラヴ・レターをよこした。実はドナ・フロールの友人が、しくんだのであるが、真面目な人柄に好意を持ったドナ・フロールは皆の勧めに従って、テオドロと再婚する。テオドロは趣味はクラシック音楽と高尚だし、つきあってる人もバジーニョのような遊び人ではなく立派な人物ばかり。すべてに几帳面で、セックスも水曜と土曜の二回と決めているほど。再婚一週年のパーティがあった夜、バジーニョがあの世から帰ってきた。バジーニョの亡霊は彼女にしか見えない。全裸の亡霊は、テオドロとの性交を見ながら、げらげら笑っている。彼女に亡霊が迫り、「私にはテオドロという夫がいる」と拒否すると、「俺も夫だせ」と図々しく抱こうとする。ドナ・フロールはヴードゥの祈祷師にたのみ込み、亡霊を消してもらうことにした。そして、またもや出現した亡霊が彼女を抱きしめると、ドナ・フロールは昔のめくるめくような感覚に酔いしれる。祈祷のため亡霊が消えていこうとし、ドナ・フロールは思わず、「バジーニョ!」と叫んでしまった。バジーニョが再び姿を現わした。かくして、以後ドナ・フロールは二人の夫と幸福な生活をおくるのだった。
Dona Flor
Vadinho
Teodoro
Rozilda
Mirandao
Carlinhos
Cazuzat
Arigof
監督、脚色
原作
製作
製作
製作
撮影
音楽
美術
字幕
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