アントニオ・ガデス
Antonio
メリメ原作=ビゼー作曲のオペラ『カルメン』を材に取って、現代のスぺインを舞台に『カルメン』ミュージカル化上演を目ざし稽古に励むフラメンコ舞踊団の内部の人間模様とオペラ『カルメン』を交錯させて描く。製作はエミリアーノ・ピエドラ、監督は「血の婚礼」(81)「アントニエタ」(82)のカルロス・サウラで、これが日本で公開される初めての作品。脚本・振付はサウラと主演者であり世界的なフラメンコ・ダンサーであるアントニオ・ガデス、撮影はテオ・エスカミーリャ、音楽はフラメンコ・ギターの第一人者のパコ・デ・ルシア、編集はぺドロ・デル・レイ、美術はフェリス・ムルシア、衣裳はテレサ・ニエト、助監督はフリアン・マルコスが担当。出演はアントニオ・ガデス、ラウラ・デル・ソル、クリスティーナ・オイヨス、ファン・アントニオ・ヒメネス、セバスティアン・モレノ、ホセ・イエべス、ぺパ・フローレス、ホセ・ルナ・“タウロ”パコ・デ・ルシアなど。
舞踊団の主宰者アントニオ(アントニオ・ガデス)は、今、ビゼーのオぺラ『カルメン』のミュージカル化に取り組んでいる。しかし、大きな問題をかかえていた。肝心のカルメン女優がみつかっていないのだ。彼は親友であり仕事仲間であるギタリストのパコ(ガデス・デ・ルシア)と共に舞踊学校に新人を見に行った。そこの主宰者クリスティーナ(クリスティーナ・オイヨス)とは長年の友人なのだ。その日も、イメージに合う娘が見つからず、帰ろうとしていた彼らの目が、時間に遅れてやって来た一人の娘に止まった。情熱的な黒い瞳と堂々とした仕草は、まさにカルメンのイメージにぴったりだった。その娘カルメン(ラウラ・デル・ソル)は、その場でヒロインに決まった。やがて、厳しいリハーサルが開始された。予想どおり、カルメンはメキメキと上達していった。やがてアントニオは、役のドン・ホセと同じようにカルメンに惹かれてゆく自分を感じた。二人の踊りの呼吸はぴったりと合い、お互いの体は自然と引き寄せられていった。アントニオの強い愛情を感じたカルメンは、夜一人で稽古する彼を訪れ二人は結ばれた。しかし、カルメンにはヤクザの夫がいた。その夫ファン(ファン・アントニオ・ヒメネス)が、服役を終えて刑務所から出てきた。カルメンに夫を紹介されたアントニオは、嫉妬心に燃えた。ちょうどそのころ、リハーサルでは、カルメンをめぐる闘牛士と盗賊の闘いが展開される。まさに現実のカルメンをめぐるアントニオと夫との対決と錯綜する。カルメンは嫉妬に悩むアントニオにはっきり言った。「私が今好きなのはあなただけ」。しかし、そんなカルメンの言葉とは裏はらに彼女は、平気で浮気をした。独占欲の強いアントニオに「私は束縛されるのは嫌い、自由にさせておいて」と言い放つカルメン。いよいよリハーサルもラストを迎えていた。嫉妬に燃えるアントニオは、遂に彼女を刺してしまった。まるで舞台の『カルメン』さながらに……。
Antonio
Carmen
Paco
Cristina
Juan y Marido
Escamillo
Pepe Giron
Colaboracion Especial
Ballet
監督、脚本、振り付け
脚本、振り付け
製作
撮影
音楽
美術
編集
衣装デザイン
助監督
字幕
[c]キネマ旬報社