リン・ツー・シャン
芥川汐見
愛する故郷ヴェトナムを捨て、流浪の民となった難民たちのそこに至る悲話を描く。製作はシャー・ムン(夏夢)、監督はアン・ホイ(許鞍華)、脚本はヤウ・タイ・アンピン(戴安平)、撮影はホワン・ツオン・チー(黄宗基)、音楽は羅永暉、編集はチェン・チェン(健健)、美術はトニー・オウ(區丁平)が担当。出演はリン・ツー・シャン(林子祥)、コラ・ミャオ(繆騫人)、マー・スー・チェン(馬斯晨)、ウー・スー・チュン(呉淑俊)、クオ・チュン・イー(郭軍藝)、アンディ・ラウ(劉徳華)、チー・ムン・シー(奇夢石)、リン・シュ・チン(林書錦)など。
一九七八年、日本人カメラマン芥川(林子祥)は、解放後の人々の生活ぶりを取材するため、三年ぶりにヴェトナムの地を踏んだ。文化局の女性に案内されて見たダナン郊外の街の様子は、意外なくらいに明るく、芥川を迎える孤児院の子供の表情も幸福そうに感じられた。だが、その夜、ダナンの旧市街を歩いてみて、その様子が一変したことを感た。芥川は火事現場に出くわす。「反動分子め!」。放火犯人をける警官たち。撮影しようとした芥川までをけった。親のぬくもりを知らぬ孤児院の子供たちは、芥川にかけ寄り、ダッコをせがむ。次第に芥川には、新しい礼会体制の裏に根ざすまだ解決されていない問題が見え出してきた。人々は飢え、相も変わらず連行される兵士たち。芥川は、街角で一人の少女と出会う。澄んだ瞳の強い意志を感じさせる少女だ。少女の名はチン・ニアン(馬斯晨)、14歳。父親は解放の一カ月前に戦死し、母は病床の身であった。まだ幼ない二人の弟の世話をしている彼女を、芥川は写真に撮った。続いて自転車預り所で貸働きをする姿など、生活力あふれる彼女の姿を撮った。彼女と街を歩くうちに、すさまじい街の現実を目撃した。突然、兵士たちを乗せたトラックがくると通りがかりの若者を殴りつけ連び去ってゆく。兵隊狩りだ。一方では、略式裁判の果てに処刑されてゆく人々……。翌日、悲劇が起こった。チン・ニアンの弟のアナク(呉淑俊)が手榴弾に触れ爆死したのだ。泣き叫ぶチン・ニアン。芥川とチン・ニアンが家の前まで来ると、中から女兵土に連れられて出てくる母の姿があった。彼女は売春をしていたのだ。とその時、彼女は、チン・ニアンらの目の前でのどを突き死んだ。ついに芥川は決心した。チン・ニアンたちを密出国させるより他に手はない。故郷ダナンと別れる日が来た。憲兵の訊問をごまかし、チン・ニアンたちを逃がした芥川は、先にチン・ニアンたちを船にのせ、酔ったふりをしてごまかそうとするが、出発の時間はせまっていた。チン・ニアンたちの乗った船はゆっくりと棧橋を離れ、芥川が必死でその後を追った。とその時、彼は兵士たちの銃弾にあい、火だるまになって死んでいった。夜明けの海を難民をのせた船が進む。船上には末弟を腕に抱き、アナクや芥川、そして母の悲しい死を胸に秘めて新しい世界ヘ飛び立ってゆくチン・ニアンの姿があった。
芥川汐見
夫人
琴娘
祖明
阮主任
琴母
黎文娟
武同志
二弟
阿楽
阿成
井上
16隊隊長
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