モーリス・ロネ
Alain
自己を失い死を決意した男の最期の48時間を描く。63年度ヴェネチア映画祭審査員特別賞、イタリア批評家選定最優秀外国映画賞受賞作品。製作はアラン・ケフェレアン、監督・脚本は「ルシアンの青春」のルイ・マル、原作はピエール・ドリュー・ラ・ロシェルの『ゆらめく炎』(河出書房刊)、撮影はギスラン・クロケ、美術はベルナール・エヴァン、音楽はエリック・サティが各々担当。出演はモーリス・ロネ、ベルナール・ノエル、ジャンヌ・モロー、アレクサンドラ・スチュワルトなど。
「人生の歩みは緩慢すぎる自らの手で速めねば……」。アラン(モーリス・ロネ)はアルコール中毒で入院療養中、死にとりつかれていた。壁の鏡には、7月23日の文字。彼の人生最期の日だ。鏡の周囲には、彼を愛さなかった妻の写真、マリリン・モンローの自殺記事の切り抜き、悲惨な事件の切り抜き……。アランは拳銃の弾丸を点検する。翌日、パリに出たアランは旧友を再訪した。安定した家庭生活を送る友、だが、彼はその凡庸さを嫌悪する。エヴァ(ジャンヌ・モロー)らは麻薬に日々を送る退廃。物事を待つだけの希望と虚偽の青春。待ちくたびれ荒廃に絶望を感じるのはアランだけなのだろうか。昔なじみのソランジュ(アレクサンドラ・スチュワルト)が催す晩餐会。彼女の優しさも、アランの孤独感をつのらせるばかりだった。翌朝、療養所に戻ったアランは、読みかけの本の最後の頁を読み終えると、静かにピストルの引き金をひく。「ぼくは自殺する。君達もぼくを愛さず、ぼくも君達を愛さなかったからだ。だらしのない関係を緊め直すため、君達のぬぐいがたい汚点を残してやる」。今、自ら生きたいと思っていたその希望が去り、アランは静かに生きることをやめた。
Alain
Dubourg
Cyrille
Solange
Eva
Frederic
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