クラウディオ・アリオッティ
Nikos
ローマ、ギリシアを舞台に、青春の果てしない欲望、野心、愛を描く。製作は熊田朝男。版画家であり、芥川賞作家である池田満寿夫が、自らの小説『エーゲ海に捧ぐ』と『テーブルの下の婚礼』を基に、初めて脚本・監督を担当。撮影はマリオ・ヴルピアーニとマウリツィオ・マッギ、音楽はエンニオ・モリコーネ、編集はマリオ・モッラ、美術は高橋秀が各々担当。出演はクラウディオ・アリオッティ、イロナ・スターラ、サンドラ・ドブリ、オルガ・カルラトス、ステファニア・カッシーニ、マリア・ダレッサンドロなど。
ギリシアの片田舎からローマへ絵を学びに来ているニコス(クラウディオ・アリオッティ)は、貧しさと飢えの中で倦怠の日々を送っていたが、籍を置くアカデミアへも通わず、退屈しのぎに向いの部屋に住む娼婦の裸体を覗き見していた。彼の下宿には、30歳を少し過ぎたばかりのエルダ(オルガ・カルラトス)と彼女の妹で幼い時の発熱で聴覚を失い、物言わぬリーザ(サンドラ・ドブリ)と、病身の母親がひっそりと暮していた。そんなある日、エルダとニコスが結ばれ、彼らの愛と性の行為は日毎にエスカレートしていった。ニコスにはかつて、同級生のアン(マリア・ダレッサンドロ)という恋人がいたが、今はエルダに夢中だった。病身の母親が死に、エルダと結婚したニコスは、ひょっとしたことから、名の通った画廊の経営者のダンチオに会うチャンスにめぐまれ、そこで、ダンチオの娘アニタ(イロナ・スターラ)に会い、目が合った瞬間、お互いに何かを感じる。それから、まもなく、ニコスの個展が秋に開かれるという話が進み、アニタは、積極的にニコスを誘ってきた。エルダの目を盗み、アニタとの情事を続けるニコスを、ただひたすら、いつも見つめている者がいた。それはリーザだった。彼女は口に出せないニコスへの想いを、その瞳に秘めていた。リーザを連れていくという口実で、エーゲ海に行く許しをエルダから得たニコスは、アニタと、その友だちでカメラマンのグロリア(S・カッシーニ)とでエーゲ海に向かった。まばゆい陽光のもとで、時が過ぎていった。ニコスは、エルダからの執拗な電話に悩まされていた。「そこに女がいるんでしょう」嫉妬深く聞いてくるエルダの声に、ニコスは何も答えることはできなかった。いつの間にか眠ってしまったニコスが、まどろみからさめると、目の前にピストルを手にしたリーザが立っていた。驚くニコスに、ピストルの引き金がひかれた。“ニコス”はじめて発せられたその言葉はエーゲ海の碧さに吸いとられるように消えていくのだった。
Nikos
Anita
Lisa
Elda
Gloria
Anna
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