ベン・キングズレー
Pascali
歴史の渦の中で身動きがとれなくなってゆくひとりのオスマン帝国のスパイの姿を描く。製作はエリック・フェルナー、バリー・アンスワースの原作を基に、監督・脚本はジェームズ・ディアダンで本作品が一般公開第一作にあたる。撮影はロジャー・ディキンス、音楽はローク・ディッカーが担当。出演は「ガンジー」のベン・キングズレー、チャールズ・ダンス、ヘレン・ミレンほか。
時は一九〇八年、オスマン帝国に忠誠を警うバジル・パスカリ(ベン・キングスレー)はギリシャの孤島に住み、島で起こる些細な事件の情報をを皇帝サルタンに書き送っていたが、その手紙は一度も開封されたことがなかった。そんなある日パスカリは、島を訪れた考古学者というアンソニー・ボウルス(チャールズ・ダンス)と出会い、一風変わったこのイギリス人の身辺を探るため、ガイドとして彼に近づくのだった。そして次第にパスカリは、彼の本当の姿が詐欺師であることを知るようになる。やがてボウルスは、ウィーン出身の画家でパスカリが何年も思いを寄せてきたレディア(ヘレン・ミレン)という女性と出会い心乱される。そしてリディアも、この紳士然としたボウルスに魅かれてゆくのだった。こういった状況の中、パスカリの心にも、この謎の男に友情にも似た奇妙な気持ちが芽生え始めていた。やがてボウルスはヘレニズム後期の彫像を発見し、パスカリに発見者としてその名が刻まれる名誉が欲しいことを打ち開け、協力を依類する。そんなボウルスに不審の念を抱くドイツ役人ゲジンク(ジョージ・マーセル)は、パスカリに彼をスパイすることを命じる。サルタン、ゲジンク、そしてボウルスの三重のスパイとなり頭の混乱を極めたパスカリが、自分自身を見失ってゆく中で見たものは、リディアとボウルスの情事の現場だった。そしてボウルスが彫像を秘密裏に島外へ運び出そうとしていると知ったパスカリは、ゲジンクにその現場を密告するが、それはパスカリの思惑以上の結果を招き、ボウルスも、そしてリディアもその場で射殺されてしまうのだった。後悔の念にかられ自暴自棄のまま家に戻ったパスカリのもとに届いていたのは、ボウルスからの手紙と彼の協力に対する報酬だった。ボウルスはパスカリを裏切ってはいなかったのである。そして帝国の滅亡は、今や目の前に迫っている……。
Pascali
Bowles
Lydia
Pasha
Izzet
Gessing
監督、脚本
原作
製作
撮影
音楽
美術
衣装デザイン
字幕
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