ダーク・ボガード
Friederich
第三帝国の黎明期に、その陰謀と野心の犠牲となって崩壊して行く、鉄鋼王国一家の悲劇的葛藤を描いた野心作である。監督は「異邦人」のルキノ・ヴィスコンティが担当。オリジナル脚本はニコラ・バダルッコ、エンリコ・メディオーリ、ルキノ・ヴィスコンティの共同執筆。撮影は「さらば恋の日」のアルマンド・ナンヌッツィと「ロミオとジュリエット(1968)」のオスカー受賞者パスカリーノ・デ・サンティスの二人。音楽は「グラン・プリ」のモーリス・ジャール、美術は、「天地創造」のパスクァーレ・ロマノ、編集は、「恋人たちの場所」のルッジェーロ・マストロヤンニが、それぞれ担当している。製作はアルフレッド・レヴィとエヴェール・アギャッグ。製作総指揮はヴィスコンティとコンビのピエトロ・ノタリアンニ。出演は「できごと」のダーク・ボガードをはじめ、イングリッド・チューリン、ヘルムート・グリーム、ヘルムート・バーガー、シャーロット・ランプリング、フロリンダ・ボルカン、レナード、・バーレイ、ウンベルト・オルシーニ、ルネ・コルデホフ、アルブレヒト・シェーンハルスなど。
一九三三年、ナチス台頭の時代。ルール地方に巨大な権勢を誇る、製鉄王ヨアヒム・フォン・エッセンベック男爵(A・ショーンハルス)一族の上にも、その暗雲が忍び寄ってきていた。総支配人フリードリッヒ(D・ボガード)は、男爵の子息の未亡人ソフィ(I・チューリン)と愛人関係にあり、性格異常のその息子マーチン(H・バーガー)をおとりに男爵の地位を狙っていた。この一族には他に、姪の娘エリザベート(C・ランブリング)と自由主義者の夫ヘルベルト(U・オルシーニ)、虎視耽々と社主を狙う甥のコンスタンチン男爵(R・コルデホフ)とその息子ギュンター(R・ベルレー)などがいた。コンスタンチンはナチ突撃隊の幹部でもあった。だが一族の陰には、エッセンベック男爵の従兄であり、ナチ親衛隊の幹部アシェンバッハ(H・グリーム)が暗躍していた。ナチスの国会焼打ちの日。フリードリッヒは、アッシェンバッハの命令で計画を実行した。老ヨアヒム男爵は血に染まって倒れ罪は国外へ逃亡したヘルベルトに被せられた。やがて遺言によりマーチンが相続人となったが、実権はフリードリッヒとソフィにあった。これに激怒したコンスタンチンは、ソフィとマーチンを脅迫したが、歴史に名高い〈血の粛清〉の日、突撃隊員は親衛隊によって急襲され、全員射殺されてしまった。その中には、コンスタンチンの無残な死体と、それを冷やかに見下すアッシェンバッハの姿があった。アッシェンバッハの魔手は最後にフリードリッヒとソフィに向けられた。まず母への異常な愛憎に苦しむマーチンを巧みに利用、コンスタンチンの息子ギュンターの純粋な心に家族の醜くい野望の毒をそそぎ込みナチ党員に引き入れてしまった。そんな時に、逃亡していたヘルベルトが戻り、妻と娘を強制収容所に渡したフリードリッヒとソフィを激しく非難した。これも、アッシェンバツハの指金であった。権力をうばわれたフリードリッヒと、息子の肉欲に蹂りんされたソフィはいまや廃人のようになっていた。そんな二人に、親衛隊の黒制服を身につけたマーチンは、結婚式をあげてやった。だが、これは娼婦などを狩り集めた狂宴であった。最後に渡された毒入りカプセルを、残された望みであるかのように、フリードリッヒとソフィは口にするのだった。……新しい時代が来た。ナチス・ドイツの恐怖の軍靴は、もはやドイツ中に響き渡っていた。
Friederich
Sophie von Essenbeck
Ashenban
Martin von Essenbeck
Elisabeth Thallman
Guenther
Herbert
Konstantin von Essenbeck
Joachim von Essenbeck
監督、脚本
脚本
脚本
製作
製作
製作総指揮
撮影
撮影
音楽
美術、セット
編集
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