マウリシオ・ド・バーレ
Antonio das Mortes
殺し屋アントニオの雄壮な冒険を軸に、宗教と集落民問題に起因する生々しい人間の確執を描いた作品。監督・脚本・美術を〈第三世界映画〉の旗手、「黒い神と白い悪魔」のグラウベル・ローシャ、撮影アルフォソン・ベアート、音楽マルロス・ノブレ、編集エドゥアルド・エスコレルが担当。主演はマウリシオ・ド・バーレ、オデッテ・ララ、オトン・バストス、ウーゴ・カルバーナ、ホフレ・ソアレス、ローザ・マリア・ペンナなど、なお、この映画はブラジルに古くから伝わる“聖ジョルジュ伝説”がもとになっており、原題は「邪悪のドラゴンと戦う聖者たち」。
荒涼たるブラジルの東北部の小さな町。この町の権力者で大地主の陸軍大佐(J・ソアレス)は、この地に跳梁する美しい巫子(R・M・ペンナ)にひきいられる邪教的山賊カンガセイロの一団を弾圧するために、プロの殺し屋アントニオ(M・D・バーレ)を呼びよせた。アントニオはカンガセイロ殺しに運命的な情熱をもっていた。巫子のまわりには、彼女を信んずる農民が群れをなしている。アントニオは、自分が不死身だと信んじこんでいるカンガセイロの親玉と決闘し、これを倒した。狂気じみた大佐、その女房は警官と通じている。政治的野望にもえる警官(H・カルバーナ)、アル中の教授(O・バストス)と妄想的な牧師、女をめぐるみにくい情事と葛藤、この支配者階級の堕落と腐敗しきった生活をみているうちにアントニオは、自分は真の敵をまちがえていたのではないかと思い始める。大佐と警官たちは、兵隊を雇って巫子とその農民たちを虐殺する。荒涼とした大地に累々と横たわる農民たちの死体の中に立ったアントニオは、今こそ真の敵を知ったのであった。
Antonio das Mortes
Laura
Plofesseur
Police
Colonel
Sainte
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