マーゲリット・クラーク
Helene_Dearing
オーネイル家で物語り会が催された。エレヌという令嬢はある男に求婚されたが、すでに結婚した身ですと答える。やがて順番でエレヌは物語を始めた。五巻目までその物語が続く。エレヌは幼少の時父に伴われてカナダに渡ったが、母のことは父の口から聞くことができなかった。父が死去した時遺言状によりエレヌは立派な家柄に生まれたことを知った。その後娘は悪者ピエールに結婚を迫られ、まさに式を挙げようとしたが、牧師の機転でラルフという兵士と結婚させられた。しかしこのまま二人は別れてしまい、今に至るも再会ができないのであった。かくエレヌが語り終った時当日の主賓トラヴァース卿が現われたが、奇しき縁よ、卿はエレヌがカナダで別れた夫であった。
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