フランティシェク・ヴィツェナ
Gohn Zika
1938年、チェコスロヴァキアの頭越しに結ばれたミュンヘン協定、翌年のドイツによる占領によって地下潜行をよぎなくされたチェコスロヴァキア共産党の力強い抵抗を描く。監督はウラジミール・スェッフ、脚本はカミール・ピクサ、クリシュトフ・トピッチ、撮影はヴァーツラフ・フニュカ、音楽はステパーン・ルッキーが各々担当。出演はフランティシェク・ヴィツェナ、ウイルヘルム・コッホ・フーゲ、ギュンター・フレーリープ、ヴラスタ・ヴラスコーワ、ザネック・ケンプなど。
1942年5月、ハイドリッヒが暗殺されたあとプラハには重々しい戒厳令がひかれ暗殺者の捜索が始まった。抵抗運動に関係のある人々はもちろん、何の関係もない人間まで無差別に逮捕されていく。あるアパートがゲシュタポに襲われ、そこに身を隠していた、第二次非合法共産党中央委員の重要メンバーの一人ヤン・ジカ(フランティシェク・ヴィツェナ)が捕えられた。ジカを抵抗運動の重要なメンバーに違いないとにらんだゲシュタポのフリードリッヒ長官(ウイルヘルム・コッホ・フーゲ)は、彼のポケットから出てきた鍵を見て、“この鍵の合う部屋こそ彼らのアジトに違いない”と考えた。逮捕者たちは、ジカの身元の証明のために長官の前に連行され、男の名をいえば生命は助けてやるといわれるが、皆黙したままギロチン台に向う。ジカの捕えられる前にも同志は次々と逮捕されていった。ビラを刷っていた党の秘密印刷所が発覚した時、ジカと連絡するはずの同志は電話の打合わせをゲシュタポに聞かれたため、秘密連絡の広場でジカを助けようと電車に飛び込んだ。ジカたちモスコー派の抵抗運動指導者は、ロンドン系の抵抗運動の指導者たちと秘かに理髪店で会合し、国内の運動統一について合意に達したが、それに反してロンドン亡命政府はハイドリッヒ暗殺計画を勝手にすすめ、パラシュートで暗殺者をプラハに送り込んだ。ジカたちの危機をよそに、暗殺は行われ、占領軍の犯人狩りの中でジカやその多くの同志が逮捕されたのだった。フリードリッヒ長官は、ジカが口を割らないために、彼のポケットから出てきた鍵を唯一の手がかりとして、合鍵を作り、捜索を始めた。プラハを200の地区に分け、ゲシュタポは一軒一軒、鍵をドアにさして廻す。だが、その頃抵抗運動者たちはとうに鍵をとりかえモスコーに亡命している指導部と連絡を続けていた。一方ゲシュタポはジカを拷問しはじめていた。朦朧とする意識の中で、永遠に組織の秘密を守るためにジカは机の上にあったコップを割り、その破片を己れの腕につき刺し自殺を計った。
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