ラフ・ヴァローネ
Saro
「街は自衛する」のピエトロ・ジェルミが同作品に先立って監督した一九五〇年作品で、彼とフェデリコ・フエッリーニ(「戦火のかなた」)、トゥリオ・ピネリ(「ポー河の水車小屋」)が協同で原案を作り、フェリーニとピネッリが脚色した。撮影は「無法者の掟」のレオニダ・バルボーニ、音楽はカルロ・ルスティケリの担当。主演は「白い国境線」のラフ・ヴァローネ、エレナ・ヴァルツィで、「無法者の掟」のサーロ・ウルツィを除いては演技陣全体にシシリーの素人島民が起用されている。なおこの作品はカンヌ、ヴェニス其他の映画祭で八つの賞を獲得した。
シシリー南部の一硫黄鉱山が閉鎖され、現場に立篭った抗夫も力つきて屈服、失職した。村にやって来たブローカー(サーロ・ウルツィ)からフランスに行けば楽に暮せるときいた一同は、家財を売払つて彼に旅費を渡し、故郷をあとにすることになった。リーダー格は三人の幼児を連れた男やもめのサロ(ラフ・ヴァローネ)。他にならず者ヴァンニの情婦バルバラ(エレナ・ヴァルツィ)や会計係の老人、結婚したての二人組、等約二十人の一行は、途中ヴァンニを拾ってメッシーナから本土に渡り汽車でローマへ北上した。ブローカーのチッチョはナポリで一同の旅費を預つたままズラかろうとしたがヴァンニに発見され、ローマへ着いた時雑踏にまぎれて逃走した。ヴァンニもまた警官に追われて逃げた。この騒ぎで一同は警察に検挙され、即刻帰郷を命ぜられた。今更帰るにも帰られず、一行はエミリア地方まで北上した時、農園の獲入れのアルバイトに雇われることになった。しかしこれは罷業中の農民に対するスト破りの仕事だったので、激昂した農民が騒ぎ出し、一行は農園から放り出された。この騒ぎで娘が傷を受けたサロはしばらく現地に止り、苦難に絶望した幾人かも去って、残った数名だけが仏伊国境のアルプス山麓の町へ到着、サロを待つことになった。ここへ先まわりしていたヴァンニとサロは、次第にサロを慕いはじめたバルバラを中にはさんでナイフで決闘をしなければならなくなったが、雪中の果し合いはサロの勝となり、一同はやっと吹雪をくぐって国境に出たが、会計係の老人は吹雪にまかれて行方不明となり、ついに命を失った。国境警備兵は彼らがシシリーからやって来たことを知ると何も言わずに走り去り、かくてこの失業者達は夢にみた希望の土地へ足をふみ入れた。
Saro
Barbara
Ciccio
Accountant
Vanni
Rosa
Lorenza
Cirmena
Beatificata
監督、原案
原案、脚色
原案、脚色
製作
撮影
音楽
美術
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