マドレーヌ・ロバンソン
Thevese Marcoux
アメリカの推理作家スタンリー・エリンの『ニコラス街の鍵』を原作に、「いとこ同志」のクロード・シャブロルが初めてスリラー映画を監督した。脚本と台詞は「いとこ同志」でシャブロルに協力したポール・ジェゴフ、撮影は「大人は判ってくれない」のアンリ・ドカエ、音楽はポール・ミスラキと、いずれも、「いとこ同志」のスタッフ。出演はマドレーヌ・ロバンソン(この作品で五九年度ヴェニス映画祭女優演技賞を獲得している)「墓にツバをかけろ」のアントネラ・ルアルディ、「勝手にしやがれ」のジャン・ポール・ベルモンド、「反乱」のジャック・ダクミーヌのほか、ジャンヌ・ヴァレリー、ベルナデット・ラフォン、アンドレ・ジョスランの新人たちである。製作ロベール・アキムおよびレイモン・アキム。
日曜の朝、しどけない姿で女中のジュリーが窓から身を乗りだしている。--マルクウ家は南仏の町エックス・アン・プロヴァンスの郊外の邸宅だ。当主のアンリ(ジャック・ダクミーヌ)は隣りの家に、若い愛人レダ(アントネラ・ルアルディ)を住まわせていた。日本にいた外交官の娘で、教養がある。それに美しい。老妻のテレーズ(マドレーヌ・ロバンソン)のみにくさは、どうだ。第一、その偽善ぶりが気にいらない。母親っ子の長男リシャール(アンドレ・ジョスラン)は変質的で、音楽気違いだ。父の気にいりの娘エリザベト(ジャンヌ・ヴァレリー)には、婚約者がいる。ハンガリー系の無国籍者ラズロ(ジャン・ポール・ベルモンド)だ。彼が夫にレダを紹介したのだと、テレーズは憎んでいる。それに、粗野な男だ。彼と仲よくする夫の気がわからない。エリザベトもだ。--事件はその日曜日に起った。テレーズが教会から帰ってきた時、ラズロがきていた。家族の前で、ラズロはアンリが家を出てレダと暮すつもりのことを話した。テレーズはもう夫の情事を素知らぬふりで過せなくなった。アンリがまたレダの家にいった間、テレーズは娘にラズロの婚約を取り消せといった。エリザベトはそういったが、ラズロは相手にしない。町へ出、酒を飲み友人のヴラドと酔っぱらった。--アンリは家を出る決心をした。もう二人の仲を人に隠す必要はない。かえって人眼にたたせた方が好都合だ。二人そろって町へ出、ラズロたちに会い、レダの家で飲み直した。昼前アンリは家に帰り、テレーズに別れるといった。口論した。妻はラズロと手を切ればレダとのことを黙認するといった。見栄で、別れたくないのだ。が、夫婦の仲は決定的に割れた。--昼になり、アンリが招待したラズロたちと共に会食が始まりかけた時、ジュリーが殺されたレダを発見したのだ……。警官を呼んだ。ジュリーの友達牛乳配達のロジェが、捕まった。が、犯人は別にいた。ヴラドが兇行の家から走り帰るリシャールを見たのだ。ラズロは野原でポータブルの音楽に酔っているリシャールをつかまえ、白状させた。彼は父母の口論を聞き、ショックをうけ、レダの家へいき、ついに殺したのだ。--テレーズは息子をかばった。みにくかった。アンリは息子を許せなかった。リシャールはラズロとエリザベトの自首のすすめに従い、一人で歩み去った。
Thevese Marcoux
Henri Marcoux
Richard
Elisabeth
Leda
Luszlo Kovacs
Julie
Roger
監督
脚本、台詞
原作
製作
製作
撮影
音楽
美術
美術
[c]キネマ旬報社