アンソニー・クイン
Inuk
ハンス・リューシュの小説「世界の頂点」の映画化で「理由なき反抗」のニコラス・レイが監督した。脚色はニコラス・レイと原作者の共同。撮影は「テンペスト」のアルド・トンティ、音楽をフランチェスコ・ラヴァニーノが担当。出演は「黒い肖像」のアンソニー・クイン、「風は知らない」の谷洋子、カルロー・ガスティーニら。テクニカラー・スーパーテクニラマ。日本公開はシネマスコープ版。
カナダの極北に住むイヌイット人イヌク(アンソニー・クイン)は妻のアジャク(谷洋子)をめとった。鯨骨でできた弓や海象の頭、守護符などを彼女の親に与えて、彼女をもらったのである。イヌクは狐の毛皮をあつめて白人に鉄砲とかえてもらった。しかしアジャクはそれをきらって彼に鉄砲をすてさせた。イヌイットの最大のもてなしは妻を客に提供することだった。白人集落から宣教師がやってきた時、イヌクは妻をかれに貸そうとした。そして彼がそれをこばんだので、かっとなったイヌクは宣教師を殺してしまった。北方に旅にでたイヌクと妻は間もなくそんなことは忘れてしまった。老衰した母を氷上に棄てて旅はつづき、やがてアジャクは赤ん坊を生んだ。ある日飛行機で二人のカナダ警官が宣教師殺しの罪でイヌクを捕えにきた。飛行機が着陸の時故障し、警官たちは氷上を歩いてイヌクを連行することになった。困難な旅がつづき、警官の一人は氷海におちて死に、もう一人は傷ついた。イヌクは彼をたすけ、傷の手あてをしてやった。旅をして生活をともにするうちに、警官はイヌクが宣教師を殺したのは、イヌイットの習慣を宣教師が無視した故であるのを知った。イヌクはすこしも悪いことをしたとは考えていなかった。裁判官の前で申しひらきすれば自分の無実が解ってもらえると思っていた。これを知った警官は苦しんだ。自分が彼を連行すれば、彼は死刑になるのである。イヌクを救出する方法は一つしかなかった。警官はわざとイヌクを侮辱した。怒ったイヌクは氷原のかなたに一人で去っていった。警官は一人で文明人の住む村の方に歩を進めた。
Inuk
Asiak
Police 1
Police 2
Imina
Missionary
Poixtee
Hiko
Kidok
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