マッシモ・ジロッティ
The Commander
実戦記録をもとに新進監督のシルヴィオ・アマーディオとルチアーノ・ヴィンセンツォーニが原案をつくり、ジーノ・デ・サンティス、カルロ・ロマーノ、シルヴィオ・アマーディオの三人が脚本化、アマーディオが監督した潜水艦映画。撮影は「青春群像」のルチアーノ・トラザッティ、音楽はブルーノ・カンフォーラ。出演は「カルタゴ」のマッシモ・ジロッティ、「眼には眼を」のフォルコ・ルリなど。
基地に帰還しようとするイタリア潜水艦が、思いがけない敵機の襲来をうけて全速潜航した。だが爆撃のため、艦のエンジンはストップし、電信機は機能を失った。もう浮上することは不可能である。艦長(マッシモ・ジロッティ)は全員を集めた。けれども脱出装置は修理不可能の故障を起していた。一人だけは艦外には脱出できるが、他の者はこのまま死ぬほかない。艦長は真相を艦員たちに教えず、いい手段を考えるために食糧を配り、みんなで一びんの酒をわけあって飲んだ。艦員たちは、自分こそ一番先に脱出するんだと口論をはじめている。こんなことでは真相を知ったらどうなるか分らない。そのうち重傷の水夫が死んだ。事情をきいていた甲板長(フォルコ・ルリ)が、口をすべらせたことから、みんなは真相を知ってしまった。艦長はピストルで一同を制した。普段は軍人魂のかたまりのような副長(ジャン・マルク・ボリー)までが理性を失っている。結局、マッチの軸を使ってクジ引きをすることに大多数が賛成した。クジに当ったのは技手だった。その技手を艦長からピストルを奪った電信技師が撃とうとした。それをとめた副長は弾丸をうけて死んだ。犠牲者が出たため、残る人間は六人だ。絶望していた警報器係が自殺し、若い水夫は発狂、艦長と甲板長は権利を放棄していたため、脱出者は、ならず者と負傷した水夫の二人にしぼられた。水夫の負傷は脱出するには重傷すぎるため、残るのはならず者だ。艦長は、ならず者一人だけが、先刻から他人をふみつけてまで生きようとしなかったことを知っていた。遺品を彼に渡して、艦長と甲板長は彼を脱出装置に導くのだった。
The Commander
Boatswain
Executive Officer
Telegraph Engineer
Young Husband
[c]キネマ旬報社