ジョヴァンナ・ラリ
Carmen
カルメンという、情熱的な女の“翻案的”一生を描いた仏伊合作の女性ドラマ。監督は製作も兼ねた「ポンペイ最後の日(1926)」「カルタゴ」のカルミネ・ガローネ、ルチア・ドルーディ・デンビー、カルミネ・ガローネ、ジュゼッペ・マンジョーネの三人が脚本を、カルロ・カルリーニが撮影を、M・ラヴァニーノが音楽を、それぞれ担当した。出演者は「青い海岸」のジョヴァンナ・ラリ、「七つの大罪」のジャック・シャリエ「飾り窓の女」のリノ・ヴァンチュラの他、ルイジ・ジュリアーニ、ダンテ・ディ・パオロ。
密輸のボス、ベンチェンツォ(リノ・ヴァンチュラ)の情婦カルメン(ジョヴァンナ・ラリ)は、罵られて喧嘩をし、通りかかった刑事のアントーニオ(ジャック・シャリエ)に連行されるが途中で逃げた。アントーニオは翌日、ある容疑でカルメンの逮捕を命じられ、彼女のアパートを捜し出すが、色仕掛けに参り、署長には彼女は不在だと報告した。ベンチェンがム所に入って留守、アントーニオに熱のさめたカルメンはある男とお熱くなるが、純な彼は思わずその男を殴りかかる。制服の警官の乱暴である。彼は免職させられ、二ヶ月の禁固を言いつけられた。刑を終えた彼は、ある日彼女の言いつけでトランクを運ぶが、それが手配中のものと知って驚く。数日後、ベンチェンが帰って来る。彼の命令でパーティーに行ったカルメンは指定の男、トムとダンスをした。自分を狙う男の情婦とも知らず、ドライブに誘うが、尾行したベンチェンは逆にトムに殺される。後に残ったアントーニオは、カルメンを自分の田舎に誘うが、彼女は、オートバイの選手ルーカと仲良くなり、ローマに行った。レースの当日、彼女は彼の応援に出掛けるが、彼女の後を追って、アントーニオもレース場に行く。ところが、終始トップにあったルーカは終回近く転倒して重傷を負った。アントーニオは、彼女にヨリを戻すよう頼むが、ルーカに心変りしてしまった彼女は頑として聞き入れなかった。ようやくカルメンの本心を知ったアントーニオは、カルメンに向けて挙銃の引金を引いた……。
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