ジャック・ペラン
Stefano
ウーゴ・リベラトーレの原案を彼自身とマウロ・ボロニーニ、フルヴィオ・ジッカが脚色、「ビアンカ」のマウロ・ボロニーニが演出した青春期の人生ドラマ。撮影はレオニダ・バルボーニ、音楽は「太陽はひとりぼっち」のジョヴァンニ・フスコが担当した。製作はアルフレド・ビニ。出演は「鞄を持った女」のジャック・ペラン、「長い船団」のロザンナ・スキャッフィーノ、「バナナの皮」のアラン・キュニー、イザ・ミランダほか。
スイスの神学校を卒業したステファノ(ジャック・ペラン)はミラノに帰った。父レオナルド(アラン・キュニー)は、大出版社の社長で、息子に後を継がせようとしていた。だが、ステファノのは聖職に一生を託す決心をしていた。彼の母は病院で睡眠療法を採っていたがレオナルドは全く無関心を装っていた。ある夜、父に有名な作家を紹介された。尊敬している人物だっただけに、父の会社では単なる名前のみの編集局長と聞かされ、驚いた。その夜、将来のことを話し合ったが、父は息子の言うことを聞こうとはしなかった。週末に父子はヨット旅行を楽しむことにした。ところが、父の友達というアドリアーナ(ロザンナ・スキャッフィーノ)も同乗したのでステファノは不愉快だった。彼女は大胆に振舞い、彼に媚態を示す。そして誘惑に負け、彼女と一夜を共に過した。翌朝、父に一切を告白してしまった。だが父は平然として聖職者の資格のなくなったものは出版社を継ぐべきと語ってのけた。休みが終り、父と共に会社に行った朝、過失によって高額の印紙を紛失し、父に責任を問われていた若い倉庫係が自殺した。父はその事件の公表を恐れ、金力で揉み消そうとした。そのお先棒を例の作家が担ごうというのだ。その冷酷な事業家達をみて、ステファノはその「堕落」を恨んだ。船の出来事も父の仕組んだものだと、アドリアーナから聞いた。やり場のない怒りは、ステファノの心を聖職者への道から、事業家への道に深ぶかと落し込むように変えてしまった……。
[c]キネマ旬報社