アントワーヌ・バルペトレ
Monsieur Dutoit
「裁きは終わりぬ」、「われわれは皆殺人者だ」につぐ、アンドレ・カイヤットの監督作品で一九五四年カンヌ映画祭で国際大賞を得ている。脚本はカイヤットとシャルル・スパークが協力して書き卸し、台詞もスパークが担当した。撮影はジャン・ブルゴワン、音楽は「悪魔のような女」のジョルジュ・ヴァン・パリス。主な出演者はこの作品で日本に本格的デビューするマリナ・ヴラディ、「埋れた青春」のジャック・シャバッソールに加えて「旅情」のイザ・ミランダ、「寝台の秘密」のベルナール・ブリエ、「女優ナナ(1955)」のポール・フランクールらが顔をそろえている。
十七歳の少年リシャール、フィリップ、ジャンと、十六歳のリリアーヌは、窃盗と殺人の罪で法廷に立っている。今まさに判決が下ろうという時、傍聴人席にいる彼らの親たちの脳裏に数か月前の出来事がよみがえる。リシャールたち四人にダニエルを加えた五人は仲のよい学生グループで戦後の混乱と不安の中に成長した子供達である。ダニエル(ロジャー・コジオ)は孤児で両親はナチの収容所で死んだ。ジャン(ジャック・シャバッソール)は母一人子一人のつましい暮しだが母アルノー夫人は一人息子に総ての夢を托し、口やかましく干渉する。リシャール(ジャック・ファイエ)は音楽家の息子で父は反体制の罪で服役後、極度に神経質となり家庭は暗い。彼は教授の娘リリアーヌ(マリナ・ヴラディ)と恋人同士だった。リリアーヌの兄はコミュニストで父といつも衝突し、彼女は全く孤独だった。フィリップ(クレマン・チェリ)は大金特の息子だが母は愛人に夢中。世間では戦争勃発の噂が流れており、息苦しい現代から逃れようと、五人はダニエルの家に集り、フィリップのヨットで南の島へ渡ることを夢想する。彼らはそのための資金を得ようと、フィリップの母の愛人であるモンテッソンの所有する貴重な切手を盗む計画を立てる。女ったらしのモンテッソンにリリアーヌが言い寄り、フィリップが屋敷に忍び込む手引きをする。しかし巡回中の巡査に怪しまれ、見張りのジャンは誤って巡査を射殺してしまった。数日後、邸の外に停めておいた自動車の番号から嫌疑は持ち主のダニエルにかかる。狼狽したリシャールとフィリップは、ダニエルが裏切りると思い込み、拷問の末、彼をも浴槽の中で殺してしまった。気の弱いジャンは犯した罪の恐しさに自殺を計るが一命を取り留め、朦朧とする中来訪した刑事にすべてを告白した。ついに判決はくだった。リシャールとフィリップは懲役十年の刑に、ジャンには五年の懲役が処せられ、十七歳に充たないリリアーヌだけは無罪放免となった。だがこの罪は少年たちだけのものだろうか。エゴイズムな親たちこそ裁きを受けるべきではなないだろうか。
Monsieur Dutoit
Monsieur Noblet
Jean Arnaud
Philippe Boussard
Daniel Epstein
Richard Dutoit
Liliane Noblet
Monsieur de Montesson
Monsieur Boussard
Madame Boussard
Madame Arnaud
Madame Dutoit
Josette
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