ジャン・マレー
Gubbiah
かつてクレマンソー首相の秘書だったジャン・マルテの小説をルネ・バルジャヴェルが脚色、ロベール・ダレーンが監督。主演は「真夜中の愛情」のジャン・マレー、「現金に手を出すな」のデリア・スカラ、「文化果つるところ」のケリマといった顔ぶれで、仏、伊、ユーゴーの合作映画である。
グビア(ジャン・マレー)はこれと定まった職業はなく、昼間は魚釣りをしたり、海綿採りの仕事やマグロの泳いで行くのをボンヤリ眺めていたりしているが、夜ともなると木彫を熱心に刻んでいるという変り者だった。或日、野性的な美しさに輝く一人のジプシイ娘トリニダ(デリア・スカラ)が現われ二十年間も消息を絶っていたグビアの父親が瀕死の病床でひと目息子に会って財産を残しておきたいと言っていると告げた。グビアはそのことよりもトリニダの美しさにすっかり心を奪われてしまった。だが彼女はジプシイのきびしい掟に従って幼時から定められた婚約者がいること、そして呑んだくれの婚約者ペポに対して少しも愛情がもてないでいることを打ち明けた。翌日、トリニダに案内されて父親の小舎に行くとダイヤを埋蔵した山の暗号図をグビアの手に渡す。トリニダのことだけしか念頭にないグビアはその暗号図を焼いてしまう。父親は怒って死んだ。グビアは大理石採掘の現場で働くことになり、経営者のスペンス夫婦と親しくなった。妻君のミニイ(M・G・ダレエヌ)は美人で現場の男たちの憧れの的だった。ある夜、一同は娯しい晩餐会を開くが、男の中の一人バラレフは、すきをみてミニイに暴行しようとするが、スペンスとグビアにみつかり、バラレフは窓からとびおり階下に火を放って逃亡した。周囲は全く火の海と化する。気を失い気がついてみるとトリニダの父親と、美しい女カローラ(ケリマ)と呼ぶジプシイが介抱していた。トリニダとの仲をさくために父親のジャオは、港のそばの古い家でカローラとグビアを同棲させるようにする。その中トリニダがペポと結婚する日を知らされる。グビアはその日、教会にのりこみ、ダイナマイトで二人を結婚させてくれと頼む。そこに居合せた人々は爆発を恐れてその強要を認めてしまう。二人は逃げ出す。後を追う人々の中には嫉妬に狂うカローラが走っていた。グビアは遂に追手から逃れ、大断崖を越えて二人の幸福が待っている世界に向って走っていった。
Gubbiah
Trinida
Carola
Minnie
L'oncle
Peppo
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