申栄均
羅小領
題名の「赤いマフラー」は、韓国空軍では実戦に参加して初めて赤いマフラーを巻くことを許されるしきたりがあることから熾烈な空中戦にかけるジェット機乗りを意味している。一九六四年度第十一回アジア映画祭で、監督賞、主演男優賞、編集賞を獲得している。
一九五五年も暮れようとする某日夕暮、斐大鳳空軍中尉をはじめとする八名の空軍パイロットたちは、出撃前の閑暇に“猪”とあだ名される羅少佐にひき連れられて、街のバー、レインボーにやってきた。そこで彼らは空軍未亡人となった慈珊に会った。羅少佐指揮下、初の出撃は完全な勝利に終り、全員無事に帰還した。ただ斐中尉だけが攻撃時に冒した戦術上の失策を責められた。羅少佐は第百回目出撃で戦死した、慈柵の夫とは無二の親友だった。羅少佐は斐を勇気づけ、慈珊と結婚させようとした。かねてから慈珊の身の上を案じていた羅少佐には、斐が死んだ慈珊の夫慮に性格が似ているうえ、彼女にとってもふさわしいと考えたからだった。戦争の最中、二人は結婚した。次の攻撃で、敵の供給部隊を断つための使命を受けて飛び立った斐の機は、撃墜され、敵領土の背後に不時着した。救助されたが、重傷を負いすぐ漢城の病院に運ばれ、慈珊もかけつけた。一方、羅少佐はバーの女主人と恋仲だったが、ある日中隊を率いて橋を爆破する命令をうけた。橋は敵の物資供給の要路であり、これまでのたびたびの攻撃は敵の猛烈な反撃の前に失敗を重ねていた。戦闘中、羅少佐は敵弾をうけて負傷した。が、彼は友軍の援護を断わり、部下に攻撃続行を指令すると、ただ一機で部下の機に別れを惜しみながら、橋めがけて突込んで行った。そして十年後。その日も、愛国心に燃える若い兵士たちのたくましい姿があった。