フランコ・ネロ
Burt
フランコ・ロゼッティと「ダビデとゴライアス」の監督フェルディナンド・バルディの共同脚本を、バルデイが監督した西部劇。撮影は「逆襲!大平原」のエンツォ・バルボーニ、音楽は新進のアントン・ガルシア・アブリルが担当。出演は「真昼の用心棒」のフランコ・ネロ、コレ・キトシュ、ホセ・スアレスほか。製作はマノロ・ボロニーニ。イーストマンカラー、ウルトラスコープ。
テキサスの小さな町ウィドー・ロックに、バート・サリバン(F・ネロ)という保安官がいた。彼は素晴しい拳銃使いで、無法者にのさばる余地を与えず、町の人々の絶大なる信頼を受けていた。そのバートがある日突然町を去った。彼には果さねばならない誓いがあったのだ。それは父を殺したシスコ(J・スアレス)という男を探し出し、裁判にかけることだ。バートはその仕事を一人でする積りだったが、弟のジム(C・キトシュ)が一緒にいくときかなかった。二人は国境を越えメキシコの町へ入った。町の人々はシスコの消息を知っていたにもかかわらず、それを口に出そうとしなかった。それはシスコが町を含めた附近一帯の残虐な支配者におさまり、暴力をほしいままにしていたから、へたに口だしすると殺される恐れがあったからだ。ついに二人はシスコの居所を知っているという老人にめぐりあうことが出来た。老人の手引きでシスコの邸宅に乗り込んだバートは、単身シスコと顔をあわせた。だがバートはそこで意外な事実を聞かされ、逮捕出来なかった。シスコがバートの弟ジムの父親だったからだ。シスコはバートの父を殺し、そのうえ母を犯したのだった。やむなくバートは何も知らないジムをシスコの邸に残し、テキサスへの道を辿っていた。その途中彼は、シスコ討ばつの軍をおこした町の人人に、是非協力してくれと頼まれ、同意せざるを得なかった。バートはシスコの部下と倒ばつ軍の戦闘中、シスコの邸に行き、ジムに真実を語った。絶望と怒りにたけり狂った彼は脱走をくわだて、無残にもシスコの部下に射殺されてしまった。激しい怒りに燃えたバートは、シスコの体に復讐の弾丸を打ち込んだ。そして砂漠に落ちる夕陽をあびて、彼は馬をテキサスに向けた。
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