ジーン・ケント
Trottie True
「狂乱の狼火」のウィリアム・デスモンド・ハーストが監督したテクニカラー映画で、キャリル・ブラームスとS・J・サイモン合作の小説からC・デニス・フリーマンが脚色し、日本には初めてのハリー・ワックスマンが撮影、「第七のヴェール」のベンジャミン・フランケルが作曲を受持った。主演は「ウォタルー街」「七つの月のマドンナ」のジーン・ケントで、「船団最後の日」「最後の突撃」のジェームズ・ドナルドが相手役をつとめるほか、「情炎の島」のアンドリュー・クロフォード、「暁の出航」のラナ・モリス、古くは「四枚の羽根」に出たヒュー・シンクレア、舞台俳優のビル・オーエン、「スペードの女王」のマイケル・メドウィン等が助演している。
今世紀の初めごろ、十二歳のトロッティー・トルーは両親の反対を退けてミュージック・ホールの芸人となり、喜劇役者ジョーの指導を受けて、七年後には一座の花形となった。或時劇場の裏手に軽気球が墜落したのが縁となって、パイロットのシド・スキーナーとトロッティーは愛情を抱くようになった。そして彼女がジョーのすすめでゲイエティ一座に加わって旅興行に出ると、スキーナーは軽気球にのってどこへでもついて行くのだった。そのうち有名な興行師に認められて、彼女はロンドンの舞台へ進出した。トロッティーはスターの待遇を受け、バンシーと化粧部屋を共にし、上流社会にファンを持つバンシーから男の操縦法を伝授された。そして彼女は多くの紳士の中から若いランドン卿ディグビーを選び、二人は次第に深い愛情を覚えて行った。一年一度のゲイエティ座のピクニックが開かれた時、ディグビーは彼女に結婚を申込んだ。スキーナーが軽気球にばかり心を奪われている不満な彼女は彼の申出に承諾を与えた。卑しい踊り子とウェルウォター公爵御曹司との結婚は社交界の噂さの的となり、明るく気転に富んだトロッティーは、次第に頑固な公爵夫人にさえ気入られるようになった。やがて父の死によってディグビーは家をつぎ、トロッティーは今や公爵夫人となったが、一日途上でスキーナーに逢った彼女が、有名な料亭へ案内すると、そこには思いがけなくディグビーが他の踊り子と一緒に居るのを見かけた。彼は友人モンティの付合いで止むなく来ていたのだが、二人はその夜初めて夫婦喧嘩をした。ディグビーの母は嫁に同情して、夫に嫉妬を抱かせるような素振りをせよと教えたので、トロッティーはモーリストと親しい様子を見せ、夫婦の仲は益々悪化して来た。ロンドン郊外で軽気球の競技会が開かれた時、到頭トロッティーは夫や上流の紳士淑女を罵倒して 競技に参加したスキーナーの軽気球に飛乗り、二人は空高く舞上った。然し彼女ほやはりディグビーを愛していた。沼の中に不時着した軽気球でズブぬれの二人は喧嘩をし、トロッティーは両親の家でしょんぼりして暮らしていたが間もなくディグビーに迎えられ、二人は馬車の上で人目もはばからず堅く抱擁した。
Trottie True
Digby Lord Landon
Maurice Beckenham
Joe Jugg
Bouncie
Sid Skinner
Monty Marquis of Maidenhead
Duchess of Wellwater
Mrs. True
Mr. True
Gladys
Perce
Bertha
監督
原作
原作
製作
撮影
美術
歌
作曲
脚色
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