カルロ・カンポガリアニ
Sir William Lockfor
富豪ウィリアム・ロックフォード卿は最早世の中に退屈してしまい、遂に世に倦きた連中が死にたい目的を以て建てた「悦楽倶楽部」という会の会員となった。そして間もなく、死の運命を二十四時間以内に与えられるというこの倶楽部に於ては最も幸福なる選抜を受けた。ところが彼が加入しているある保険会社は、彼に死なれては会社が破産してしまうところから種々方策を講じた結果、女優グラディス・ラヴに依頼して彼の死を妨げることに努力せしめる。かくてあらゆる危険を冒してグラディスはウィリアムの死を妨げ、自分の容貌の魅力を以てウィリアムの死の決心をすら翻えさせ楽しい恋仲とまでなったのである。他の倶楽部員の連中も彼等の幸福を見て始めて真の人生の価値を見出し、ここに「悦楽倶楽部」は滅亡してしまった。(全四篇)
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