マリア・ヤコビニ
Fanita
最近イタリア映画界に隆々たる勢力あり特殊組織よりなるフェルト会社の作品の一つで我国にも既に同社映画は多数公開された。主役は「復活(1917)」「さらば青春」等主演のマリア・ヤコビニ嬢で、その他アムレート・ノヴェリ氏、故アルフォンソ・カッシニ氏、リド・マネッティ氏等馴染ある老巧連が共演している。フランス文豪として世界に名を轟かしたテオフィル・ゴーティエ氏の小説により案を得てルチアーノ・ドリア氏が劇を作ったものである。無声。
西班牙の年少貴族アルヴロ・ドゥサン・ロザリオは同族のイサベル姫から深く恋されたが、気障な姫を彼は甚だしく嫌っていた。一日彼は姫の執著余りに煩しきを避けて、姫から堅く見物を禁じられていた闘牛見物に赴いた。ここで美しき乙女ファニタと相会って彼は初めて燃ゆるような恋を覚えた。乙女もまたアルヴロに熱情を捧げたのであるが彼女を慕っていた闘牛士バレネの為に二人の間の甘い夢は忽ちに破られ、アルヴロは負傷さえしてしまった。その負傷癒ゆる迄の彼女の家に於ける優しき介抱の情けに暮れた幾日かは二人が仲の恋の焔をいやが上に燃え立たした。イサベル姫は己が父の威光を以て私設警察を迄動かしてアルヴロの居所を突き止め、ファニタが家に訪れ来ったが、結ぼれ堅き二人が仲の如何ともせんすべなく、又闘牛士バレネは失恋の悲しみを嘆いて憐れ猛牛の角に己が胸を擬した。しかし怒りも悲しみも、燃ゆる情熱を如何し得ようぞ。
Fanita
Curra
Isabel de Los Rios
Barrene
Don Manuele de Los Rios
Rufino de Megares
Don Alvaro de San Rosario
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