ディオミラ・ヤコビニ
Magara
マリア・ヤコビニ嬢の妹なるディオミラ・ヤコビニ嬢の主演になる人情劇で、原作、脚色、並びに監督は総てルチアーノ・ドリア氏の手になったもので、相手役はアルバート・コロ氏である。無声。
父母の懐に抱かれての航海中、船は難破し、絶海の一孤島に漂流したタルシア伯爵の一子マガラは、同じ運命の下に遭難した一老人の手によってこの無人島に成長した。イタリアの飛行家クロウディオ・ヴィンチは太西洋横断の途中機の故障から偶然この島に漂着し、マガラは始めて若い同国人を見て恋に陥り、ヴィンチもこの美しい処女を憎からず思った。しかし父の様に愛み育てられた老人を一人捨て去るに忍びず、彼女は島に止まり飛行家も諦らめて国に帰り、二人は再び会う望みを失ったが、二人の間の愛の絆は断たれなかった。マガラは老人の死後ある帆船に救われて本国に帰り、恋人の行方を訊ねた末パリに於いて再会する事が出来た。そしてヴィンチの表面荒み切った亨楽生活の中にも、その心の奥には昔逢った島の娘の事が深く刻まれているという告白を聞き、計略によって彼に命賭けの飛行を断行させ二人は思い出深き幸福の島に向って、楽しい恋の旅途に上った。
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