ミュジドラ
Queenie
コレット・ウィリー夫人の原著で、かつて紹介されたゴーモン会社の連続映画、「ド・ラ・ルー」で妖婦役をしたミュジドラ嬢が主役である。無声。
画家アドルフの妻クイニーは夫の放埒に愛想を尽くし、自分が劇的天才のあるを幸として旅役者の群に入った。一座は彼女の為に人気を得て大成功を博したが、若い彼女は淋しかった。彼女に心を寄せて居た男にマクシムと云う金満家があった。或時彼女は運命に弄ばれない望みに充ちた乙女の様な気分に成った時、頼もしい男子の腕にすがるべきだと感じて、一座を棄ててマクシムと共に彼の別荘へ行く。しかし真剣な初恋に破れた彼女に素直な恋は起こらなかった。一日彼女のもと居た旅役者の一座が花形の彼女を失った為人気が無く成って乞食の様な姿と成りこの近くに来て居るのを彼女は認め、昔懐かしさに一座の人々を我家に呼び入れて餐応した。この時帰って来た夫の情ない仕打ちを見た彼女は、再び昔の自由な生活に帰るべく、一座と共に涯しない漂泊の旅に上った。(四篇)
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