マティ・ウィルソン
Dolly
綺麗な一篇のお伽劇である。無声。
ドリーは小説家となる若い娘に有りがちな望みをいだき原稿を出版業者に送ったが、世の荒浪の味が出て居ないとて返送されたので、その荒浪を味わう為に、ヴァイオリニストを夢みる妹と共に家を逃げ出した。二人の後見者である叔父は三人の大々的与太探偵を雇い、二人を捜索させたので、二人は幾度か探偵の裏をかき、最後に新聞記者ジョー青年に救われ、やがて家に帰った時、ドリーは浮き世の味と、恋とを得て立派な小説家となったのである。
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