ナタリー・コヴァンコ
Goul y Hanar
ロシアの映画製作者エルモリエフ氏がフランスに於いて製作したもので、アラビアン・ナイトの一節だそうである。美しい、パテー・カラーが施されている。無声。
それは遠い古の物語である。アラビアの王が王妃に欺かれたために、世の中の女と云う女を呪い、国中の美女を一人づつ後宮に召し出しては翌朝に成ると殺してしまう。王の此の荒々しい行を改めさせようとして、一人の女が自ら進んで王の前に出た。彼女は巧みな弁舌で王にいとも面白い物語をきかせた。そして、その物語が佳境に入ったとき、続きは明晩お話すると云って中途で止める。王は続きが聞きたいばかりに、其の日に其の女を殺さなかった。斯の如くして女の物語は長い長い間続いた。やっとその物語が終わった時、王の粗暴な心は和らいで、其の女を妃としたのであった。
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