ハンス・ステューヴェ
Arnold Horn
ペーター・マーティン・ランベルズ氏の戯曲『伯林を蔽う毒瓦斯』から、プドフキン氏附きの脚色者として知られているN・ザルヒ氏が脚色し、ミハエル・ドウブスン氏が監督に当たった映画で、主なる出演者は「美はしの人生」「若き日の恋」のハンス・ステューヴェ氏、「メトロポリス」「金」のアルフレッド・アベル氏、「死の花嫁」「パンドラの箱」のフリッツ・コルトナー氏、「母(1926)」のヴェラ・バラノフスカヤ嬢、リッシー・アルナ嬢、ゲルハルト・ダンマン氏等である。(無声)
化学工場の技師長アーノルド・ホーンは中間産物として殺人的毒ガスが出来る新らしい一つの肥料の製造法を発見した。これを知った社長シェットラーテンは来るべき戦争のために肥料よりも寧ろ毒ガスを生産しようと企てる。ホーンは由々しき人道上の問題として、この殺人的毒ガスの製造中止を願ったが一言のもとに拒絶され、且つ解雇されてしまう。かくて毒ガス製作は着々と実現されて行った。すると或る日、工場に一つの事故が起る。職工長ベーターが死体となって運び出されたのである。死因は心臓麻痺と発表されたがそれは明らかに毒ガスでやられたものだった。これを感づいた労働者達は、何等かの予防手段が講じられなければ働きつづけることは出来ないと言い出した。ペーターの妻は、毒ガスの発見者がホーンだと聞き亡夫の復讐をしようとつけ狙ったが、却って彼が人類を救おうとした事実を知って自分の計画を思いとどまる。ホーンの妻エレンは夫の復職を願うため社長シュトラーテンのもとを訪れた。ところが彼女の容色に或る野心を感じたシュトラーテンは、彼女の歓心を買おうと毎日花を送るようになった。これを誤解したホーンは自分にもまだ力があることを妻に知らせてやろうと家を飛び出した。ホーンの姿は突如工場の実験室に現われる。丁度そこには工場監督がいた。ホーンは更めて工場監督に毒ガスの生産中止を懇願した。だがそれは勿論聞き入れられよう筈はなかった。今はこれまでと最後の決心をしたホーンは矢庭、ガスタンクの口をあけようとする。工場監督はこのホーンの狂気染みた行動を見るや大いに狼狽しこれを喰い止めんがために彼にむかって発砲する。だが弾丸はホーンに当たらずタンクに命中して穴を穿つ。ガスが漏れはじめる。恐ろしい毒ガスが。工場監督は第一の犠牲者となって倒れた。警報が鳴りひびく。サイレンが唸り立つ。毒ガスだ。毒ガスだ。労働者たちはガス・マスクをとろうとひしめき合う。かくてこの恐るべき殺人的毒ガスは徐々に伯林市中に広がってゆく。
Arnold Horn
Hellen his wife
Hansen Director
Ten Siraaten president
Peter workman
His wife
His son
[c]キネマ旬報社