マルセル・シャンタル
Helene
フランスで一流に伍する女優マルセル・シャンタルが主演する映画で、ギイ・ド・モーパッサンの短編に基き、「吼えろ!ヴォルガ」と同じくヴィクトル・トゥールジャンスキーとボリス・ド・ファストとが脚色し、トゥルャンスキーが監督した作品である。相手役は「泣き笑い千法札」のジャン・ウォルムスとキャフェ・コンセール歌手出身のフェルナンデルとで、その他「居酒屋(1933)」のアレクサンダー・リニョオ、「パリ祭」のジョルジュ・リゴー、「キートンの爆弾成金」のポーレット・デュボー、クロード・レーマン等が出演している。台詞は「吼えろ!ヴォルガ」「別れの曲」のジャック・ナタンソン。撮影は古参のF・ブルガソフとルイ・ネ。音楽はルネ・シルヴィアノ。作歌はセルジュ・ヴェベルである。
遅い夏のある日、ラムーサン大佐の若く美しい妻エレーヌが浴槽の中で我れと我が命を絶った。喪心したような大佐は妻の葬式のあった後、始めて郵便で己れに送られた妻の遺書を見た。遺書には昔からの妻と己れとの物語が綴られていたーーエレーヌはソルチッス大佐の遺児で、女中のマリーと二人で、音楽を教えて生活していた。そして或る夏の日、水浴の時、ラムーサン大佐と相識った。ソルチッス大佐はラムーサン大佐の旧友であった。それからラムーサン大佐のエレーヌへの思慕の情は日増しに深くなり、大演習のあった後に二人は結婚した。ところで、エレーヌは大佐の掌中の珠であったのみならず、また大佐の部下の将校全部の憧れの的でもあった。そしてエレーヌの周囲には常に大勢の若い将校が集っていたが、彼女はそれを手際よく切り抜けていた。だが、将校達の大競馬も済み、忠実な従卒のエチエンヌが女中マリーへの報われぬ恋を残して去って行った後、ふとエレーヌは将校の一人サン・タルペールと恋する身となった。それからの彼女は川中の小島で彼と密かに約しては会った。だが、それを感知したのは新しい従卒のフィリップである。フィリップは無智で残忍な獣の様な男であった。そして、エレーヌの秘密をかせに彼女に迫って行った。エレーヌはもう絶体絶命の境に追い込まれた。大佐に総てを告白しようともしたが、それも出来ない。そこでエレーヌは告白と許しとの手紙を大佐に残して死んで行った。ーー遺書はこれで終わっていた。大佐はフィリップを呼んだ。そして彼から妻の愛人の名を問訊すと同時に、彼をめがけて拳銃の引鉄をひいた。
Helene
Colonel de Limousin
Philippe
Etienne
Marie
St. Albert
Georges
L'Adjutant
監督、脚色
原作
撮影
撮影
音楽
美術
作詞
台詞
脚色
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