エミール・ヤニングス
Matthias Clausen
「激情の嵐」「黒鯨亭」のエミール・ヤニングスが主演し総指揮したエミール・ヤニングス作品である。ゲルハルト・ハウプトマン作の戯曲「日没前」に取材して「ハンネレの昇天」「F・P一号応答なし」のテア・フォン・ハルボウが「黒騎士」「白鳥の舞」のクルト・J・ブラウンと協力脚色し「あかつき」「ジャンダーク」に出演していたファイト・ハーランが監督に当たり、「別れの曲」「ハンガリア夜曲」のウェルナー・ブランデスとギュンター・アンデルスが撮影を分担し、音楽は「愛国の騎士(1936)」のウォルフガング・ツェラーが受け持った。助演者は「空中劇場」のハンネス・シュテルツァー、「日没前」の舞台に同役を勤めたマリアンネ・ホッペ、パウル・ワグナー、「黒鯨亭」のマックス・ギュルストルフ、「第九交響楽」のマリア・コッペンヘーファー及びテオドル・ロース、「郷愁」のハーバート・ヒュブナー、ハラルト・パウルゼン其の他である。
鋼鉄王と呼ばれるマティアス・クラウゼンは、幾万の労働者と市民から慈父と仰がれていたが、その家庭生活は落漠たるものがあった。父への偏愛にとり憑かれた病娘ベッティーナ、次女オッティリエの婿でクラウゼン工場の重役クラムロートの不行跡、世俗を脱した学者でありながら妻ポウラの強欲に何もできない長男ヴォルフガング、絶えず不義理を拵えては父に尻拭いをさせることしか知らぬ末子エガート。彼等の利己主義によって起こる葛藤の中で、クラウゼンは後を託すに足る者を一人として見出し得なかった。妻の死後この不安は一層深まった。やがて自分が死んだら、心血を注いだ事業はどうなって行くであろうか。しかし其の時奇蹟が起こった。新しく雇われた女秘書インケン・ペータースが、不思議な青春の泉と希望の喜びを彼に与え、絶えんとした人生と事業への抱負を再び燃え上がらせた。クラウゼンの家族たちはインケンの出現に非常な脅威を感じた。彼女は多くの労働者達と同じく、崇仰と敬愛を以てクラウゼンに仕えたのであるが、彼が亡妻との結婚指環をインケンに与えた為に、家族達の嫉視は遂に爆発した。父の死によって譲らるべき遺産は不逞なる職業婦人に奪われようとしている。クラウゼンが彼女を連れて南欧の古都を訪ねている間に、クロムラートに操られた家族達は父に対して禁治産の訴訟を提起した。激怒と絶望に気も狂わすばかりのクラウゼンは旧友の衛生官ガイゲルの許へ逃れたが、そこへインケンが指輪を送り返して来た。それは家族達の訴訟を取り下げさせる為に計った心使いだったが、クラウゼンは知る由もなかった。沈みこんだ老クラウゼンの耳に響くのは工場の汽笛だった。彼は突如立ち上がると静かに社長室へ歩を運んで速記者を呼んだ。「余は、余の死後に於いて工場を挙げて国家、即ち民族共同体に贈与する。余と協力し来りたる従業員諸氏の中より、必ずこの事業を天職として継承すべき人物の現れ来るべきを余は信ずるもの也」この遺言を速記している女は、他ならぬインケン・ペータースである。
Matthias Clausen
Professor Wolfgang
Paula
Egert
Bettina
Ottilie
Klamroth
Inken Peters
Frau Beters
Geiger
Dr. Wettke
Hanefeld
Pastor Immors
Winter
Hofer
Bodelfing
Dr. Ehrhardt
Stenotypistn
Werkmeister
監督
原作戯曲
製作
撮影
撮影
音楽
脚色
脚色
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