ロジェ・ピゴー
Antoine
「僞れる装い」のジャック・ベッケルが一九四七年に監督した映画で、同年のカンヌ映画祭に入賞したSNEG作品。脚本はベッケルが、「偽れる装い」で協力したモーリス・グリッフ及びフランソワーズ・ジルーと三人で共作し、ピエール・モンタゼルが撮影した。装置はR・J・ガルニエで、音楽は「偽れる装い」のジャン・ジャック・グリュネンワルドが作曲した。主演は「幻の馬」のロジェ・ピゴーと新顔のクレール・マッフェで、「奥様は唄に首ったけ」のノエル・ロックヴェールをはじめ、ポーレット・ジャン、アネット・ポアーヴル、ジャック・メイラン、ピエール・ツラボー、ジャンヌ・マグナその他が助演する。
印刷工のアントワンとデパートの売子アントワネットは、好いて好かれて結婚したが、薄給なので夫婦共稼ぎをしても、場末のアパートの屋根裏に貧乏世帯のその日暮しである。アントワンは旧式のラジオを聞き、アントワネットは貸本の小説を読むのが娯楽で、映画見物も出来ない。赤ん坊がほしいと思いながら、今だに避妊をつづけている有様である。アントワネットがデパートの帰りに食料品店で野菜を買うと、そこの女好きの主人ローランは、美しいアントワネットの女房ぶりに色気を出し、彼女にサージンの缶詰を無理に与える。久しぶりの御馳走を喜んだアントワンは只でもらったと聞くと、嫉妬から缶詰をたたきつける。それほどにも二人きりの幸福を守っている二人である。アントワネットが何気なく富くじを買っておいたのが、意外にも八十万フランの大当りになったことをアントワンが発見した。毎日自転車で工場に通っている彼は、これでオートバイが買えると大喜び。アントワネットも望みの赤ちゃんが持てると大喜び。翌日、工場を休んでアントワンは小説本の間にはさんでおいたくじ札を紙入に入れて、賞金を取りに出かける。地下鉄で切符を買い、先方に着くと懐中にしまった筈の紙入がない。どうやら地下鉄切符売り場で失ったらしい。賞金をもらったらすぐ連絡すると約束したのに、音さたがないのでアントワネットは心配してアパートを飛び出す。アパートの近くで妻の姿を見たアントワンは申訳なさに物かげに身をひそめる。そしていつも電話を借りる喫茶店でやけ酒を一杯のむとそこでは娘が結婚するのでお祝の最中である。その席上花婿は紙入を出そうとすると自分のでない紙入が出て来る。それは地下鉄の廊下で拾ってとどける間がなく持っていたアントワンの紙入である。カフェーの主人は紙入紛失の話を聞いていたので、早速アントワンに返す。ところがくじ札はない。花婿さんが中身に手をつけないことは明白である。二度がっかりしたアントワンがアパートへ帰ってくさっている処へ、またもやローランがアントワネットを訪ねて来た。そこで大喧嘩となり、アントワンは頭を鍋で打たれて失心してしまう。その打撃でくじ札を小説本にもどしたことを思い出し、二人の夢は実現する。
Antoine
Antoinette
Roland
Juliette
Huguette
Barbelot
Riton
Mother Riton
The Washwoman
The Concierge
Aline
Adrien
Juliette's Husband
An Employee
The Cashier of the Grocery
Popaul
The Cafe Proprieter
A Client
The Father in Law
監督、脚本、台詞
脚本、台詞
脚本、台詞
製作
撮影
音楽
セット
[c]キネマ旬報社