マッシモ・ジロッティ
Guido Schiavi
一九四八年に「どうして私は敗れたか」「街の英雄」などを製作し、イタリア最良のプロデュサーと評判の高いルイジ・ロヴェレが製作担当するイタリ・ルックス社一九四八年度作品。監督のピエトロ・ジェルミは、初めは俳優をしていたが、後監督を志望し、「証人」(一九四五年オルビス作品)「失われた青春」(一九四七年ルックス作品)を発表している若い代表的な監督である。ジュゼッペ・グイド・ロスキャーヴォの自伝的小説『小裁判官』から、ストーリーをジュゼッペ・マンジョーネが書き、アルド・ビッツアリ、フェデリコ・フェリーニ、ピエトロ・ジェルミ等六人の脚本家によって合作されている。主演はイタリア男優中で人気あるマッシモ・ジロッティ、これを助けてフランスから「濁流(1947)」のシャルル・ヴァネルが、「ルイ・ブラス」でダニエル・ダリュウの侍女に扮したヨーネ・サリナスが協演している。助演者にカミロ・マストロチンクエ、トゥリ・パンドルフィーニ、ペッピノ・スパダーロがいる。撮影はレオニダ・バルボーニ、音楽はカルロ・ルスティチツリがそれぞれ担当している。
シチリア島の中央部にあるカアポダルソ村。ロヴアスト男爵の土地で一人の馭者が殺された。村民達はその犯人は誰であるか解っているが、後難を恐れて誰も無抵抗だった。マフィア団は益々法を無視して暴れ回るので、男爵もつくづく法律の力が必要であると痛感するが、支配者パッサラッカの前では何も出来ない。丁度その頃この村に若い新任司法官スキァーヴィがふ任して来た。彼は前任の司法官が如何にこの土地が暴力のため腐敗しているかを聞き如何なる危険が自分の身にふりかかろうとも、マフィア団の不法行為から住民を、村を平和にしようと決心する。だが村に来た彼を親うのは少年パオリーノだけで、村民達は若いスキァーヴィに冷たい目でみつめていた。その頃硫黄鉱の閉鎖によって失業した鉱夫達を救うため、妻の鉱山を整理しようとしている男爵に法律上の義務として再開をうながしたが、彼の行為に男爵は腹を立てた。彼はそこで偶然にも男爵夫人テレサに逢い、美しさに惹かれ次第に彼女をしたい始め、彼女も愛情の失われた良人と、職務のためには身の危害もかえりみない司法官の間に狭まり愛情の行方に悩むのだった。一方少年パオリーノの姉の結婚日に、又殺人事件が起り、スキァーヴィはパッサラッカの家に行き、犯人を捕えるが、マフィア団は犯人を直ぐ自由の身にさした。前の馭者殺しの責任者マツサーナはこの機を良用しようとする。彼は自分の情婦の娘が、パオリーノと秘かに婚約している間柄なのを知って、その娘ヴァスティネッダを自分のものにしようとする。そして彼はパオリーノを密告者であるとマフィア団に訴えた。その為パオリーノは公に処刑される事になった。男爵はスキァーヴィを金で買収しようとするが、彼がそれを拒んだので、帰途、刺客をさしむけ殺害しようとした。しかし、幸にもスキァーヴィは怪我だけですんだ。だが家に帰ってみると、検事総長が彼を待ち、スキァーヴィが村人の人望を失っている由の、悪意ある手紙をうけとっているといった。その時鉱山再開を待っている失業者達が待ち切れず、自分達で鉱山を占拠しようとする一群が騒ぎ出したので、警官隊が出動し、これを制止しようとしたので、彼等はスキァーヴィが敵方に寝返り打ったと誤解して、窓下に集り石を投げつけた。これを見ると正義と情熱に燃えたったスキアーヴイもいささか気を失い、辞職の決意をし、丁度男爵の不正に愛想をつかした夫人と共に二人はこの土地を逃げる決心をしていた。その翌朝、パオリーノがマフィア団によって殺されたという報知が入った。スキァーヴィはほん然と村に引返し、警鐘を乱打して村人を集め、正義のため「法律の名のもとに」正しい裁判をし、自分は又現職につくむねの宣言をした。更にマフィア団の活動を支配している偽の感情を糾弾し村人全部を処罰する。彼は男爵夫人との恋愛を既にあきらめていた。彼の剣幕にはさすがの首領自らが警官に殺害者を引渡すよう団員に命じた。かくしてカアポタルソ村に「法の名によって」の言葉が響き渡るのだった。
Guido Schiavi
Passalacqua
Baron Lo Vasto
Baroness Teresa Lo Vasto
Don Fifi
Lawyer Faraglia
The Sergeant
La Scanniota Lorenzina
Vastianedda
監督、脚本
脚本
脚本
脚本、脚色
脚本
脚本
原作
製作
撮影
[c]キネマ旬報社