マルセル・ダリオ
Larga
抗戦映画の傑作と称せられる「鉄路の戦い」を作ったルネ・クレマンが戦後監督した作品で、「どん底」の脚色者ジャック・コンパネーズがヴィクトル・アレクザンドロフと協力執筆したストーリーを、クレマンがジャック・レミーと協力脚色し、「望郷(1937)」「格子なき牢獄」のアンリ・ジャンソンが台詞を書いている。撮影は「美女と野獣」のアンリ・アルカンが指揮し、音楽はイヴ・ボードリエが作編曲している。出演者は「あらし(1939)」のマルセル・ダリオ、「高原の情熱」のポール・ベルナール、新進のアンリ・ヴィダル、「リビア白騎隊」のフォスコ・ジアケッチ、フロランス・マルリイ、ミシェル・オークレール、新人アンヌ・カンピオン、ジャン・ディディエら。
太平洋戦争の末期、ドイツの一潜水艦がオスロの基地を出発した。秘密の命令を帯びたフォン・ハウザー将軍、ゲシュタポのフォルスター、その部下のウイリイ、イタリア人のガローシ、その妻で将軍の妾であるヒルデ、ノルウエーの学者エリックセン、その娘イングリッド、フランスの新聞記者クーテュリエらが乗っている。潜艦は敵に遭遇し、短い戦闘をまじえて危地を脱したがヒルデがかなりの重傷を負った。軍医がいないので、その夜フランスの海岸から、一人の医師を無理に連れて来る。医者はギベールといい、ヒルデを介抱するのにも潜艦は南米へ向け走りつづけた。ギベールはヒルデが全快した時、自分は殺されるのだと覚悟する。航海は続けられて潜艦生活になれない客人達は、神経異常となり、中にもヒルデは夫のガローシを侮辱する有様である。ラジオでベルリン陥落、ヒットラー死亡の報を得るや、絶望したガローシは投身自殺した。燃料が尽きかけた時、艦は南米の某小港に到着した。フォルスターはウイリイを遣し、ラルガに連絡させた。ところがドイツが降伏したので、ラルガは何の指令も受取っておらぬから燃料はないと、シラを切った。ウイリイも脱走しようとしたが、フォルスターにつかまり、二人はラルガの事務所に訪れ、フォルスターの命令でその場でウイリイはラルガを射殺した。潜水艦が出航準備中、クーテュリェも逃亡を企てたが、フォルスターに射殺された。エリックセンも娘イングリッドを残したまま、ゴム製救命艇で逃げ出した。燃料不足のまま潜艦は出港し、何も知らぬ乗組員は最初に出合った船から燃料を奪い、その時はじめてドイツ降伏の事実を知った。将軍等はその船に捕虜として乗うつったが、フォルスターはナチ狂信者の本領を発揮し、その船を撃沈してしまう。ところが潜艦内でも暴動が起り、フォルスターはウイリイに殺され、ギベールはなぐられて失神した。生き残った乗組員は燃料のない潜艦をすて、ウイリイ、イングリッドと共にボートで脱出した。眼が覚めるとギベールは、ただ一人潜艦に取り残された。かくて漂流十二日、飢渇で死にひんした時英国船に出合って救われた。ボートで逃れた連中の生死は全く不明であった。
Larga
Couturier
Doctor Guibert
Hilde
Garosi
Willy
Ingrid
The Captain
Foster
General von Hauser
The Adjutant
監督、脚色
脚本
脚本
製作
製作
撮影
美術
作曲
台詞
脚色
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