監督
大戦の写真フィルムと製作者の撮影した場面を合わせ用いてドゥオモン要塞の激戦を描こうとしている。製作当時にあっては相当の迫力を持ったものかとも思われるが、日本に来た此の映画は非常に古びている上に、恐らく方々切れているのだろう、時日の経過、独仏両軍の一進一退の攻撃戦は、日本語の解説が附けられているにも拘わらず、余り明瞭に分からないのであった。また砲声が録音された凄惨な戦場の場面では、解説者の言葉は案外頭に入ってこないものだ。それ故全体に説明不足であって、単に戦場場面の連続のような気がし、ドゥオモン要塞は印象的でなかった。製作者の作った写真フィルム以外の部分は、殊更な筋も芝居もない。これは当然の事ながら好感を持たせるものがあると言える。ドイツ軍が要塞を放棄し、僅かな兵士が傷兵を運んで悄然と引き上げるところは、そのためわざとらしくないものになっていた。
ストーリー
一九一六年二月、欧州大戦。ドイツ軍はヴェルダンの要塞に対し総攻撃を開始した。同月二十一日、九時間にわたる砲撃にフランス軍の砲兵隊は沈黙し、ドゥオモン要塞に向かったドイツ部隊はハウフト大佐、ラトケ中尉の指揮の下に遂に此の要塞を占拠した。一時退却したフランス軍は同日奪還を企てる事九回、事成らずして却いた。同年五月フランスは軍を整えて逆襲し、後援続かざるドイツの戦線は崩れ始めた。かくて悪戦苦闘、十月二十四日、生き残りの僅かなドイツ兵はドゥオモンを放棄して寂しく戦線を退いていった。
スタッフ
ナレーション
シャルル・ド・ロシュフォール
製作
カール・ギュンテル・パンテル
撮影
ヴィクトル・グリュック
撮影
ゲオルク・ブルックバウエル
撮影
フランソア・ファルカス
撮影
ラヨロ
音楽
エルンスト・エーリヒ・ブーダー
コラム・インタビュー・イベント
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作品データ
[c]キネマ旬報社