グラジーナ・ジャポロフスカ
Magda
孤独な郵便局員の少年が、向いのアパートに住む年上の女流画家の行動を覗き見ているうちに、純粋だが困難な恋愛におちるラブストーリー。製作はリシャルト・フトコフスキ、監督は「殺人に関する短いフィルム」のクシシュトフ・キェシロフスキ、脚本はキェシロフスキ監督とクシシュトフ・ピェシェヴィチ、撮影はヴィトルド・アダメク、美術はハリナ・ドブロヴォルスカ、音楽はズビグニエフ・プレイスネル、編集はエヴァ・スマルが担当。出演はグラジーナ・シャポロフスカ、オラフ・ルバシェンク、ステファニア・イヴァンスカ。
19歳の郵便局員トメク(オラフ・ルバシェンク)は、毎晩8時半に、盗品の望遠鏡で向いのアパートに住む女流画家マグダ(グラジーナ・ジャポロフスカ)の部屋を覗き見ていた。次々と違う男を部屋に連れこむマグダに、トメクは執拗に無言電話をかけ続ける。それは、出征中の友人の母親(ステファニア・イヴァンスカ)のアパートに間借りする孤独な少年の、屈折した愛情表現だった。彼女に逢うために、トメクは、牛乳配達のバイトを始める。そしてある晩、恋人と別れて一人で泣くマグダを見たトメクは、翌朝、偽の為替通知を彼女のポストに届けた。郵便局に為替を受け取りに来て責任者に罵られた彼女に、トメクは駆け寄って初めて声をかけた。「昨日君は泣いていた」。彼のしたことを告白されて、マグダは「人でなし!」と叫んだ。その夜彼女は少年を挑発するように男を連れ込んだ。覗き見されていることを彼女に知らされ、男はトメクを呼び出して殴り倒した。翌朝、牛乳を届けに来たトメクに、マグダは「どうしてつけまわすの?」と聞いた。トメクは「愛しているから」と答えた。そして、初めてのデート。しかし、マグダの部屋で、トメクはマグダの言う〈世間でいう愛の正体〉を見せつけられ、絶望して部屋を飛び出していった。後悔したマグダは彼に詫びようとするが、少年は手首を切って病院にかつぎこまれていた。彼を住まわせていた老婦人は、「あなたは笑うでしょうが、恋の病です」と言ったきり彼の行方を教えようとはしない。その日から、今度は彼女がオペラグラスで向いのトメクの部屋を見つめ、彼からの電話を待つ夜が続いた。そしてある晩、とうとうトメクが退院したことを知ったマグダは、トメクの部屋を訪れた。眠っているトメクと老婦人の傍らから望遠鏡で自分の部屋を覗いたマグダは、泣いている自分と、その肩に少年の手がそっと置かれるのを見た。
監督、脚本
脚本
製作
撮影
音楽
美術
編集
字幕
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