カン・スヨン
スンニョ
愛に傷つき、尼僧院に入った女性の遍歴。製作は李泰元、監督は「シバジ」の林權澤、原作者の韓勝源が脚本を兼ね、撮影は具重謨、音楽を金正吉が担当。出演は姜受延、陳栄実ほか。
父を亡くし、母の手ひとつで育てられた16才の女子高生スンニョ(カン・スヨン)はひそかに憧れていた担任教師と小旅行したことが明るみにでて退学処分になる。母の無理解もあって深く傷ついた彼女は尼僧院に救いを求めた。そしてある日、スンニョは自殺しようとしていたヒョニューという男を助け、それがきっかけで絶望していた彼は人生に光明を見出した。尼僧院を出て自分と一緒に暮らしてくれ、というヒョニューの願いに対し、院主ウンソン尼(ユン・インジャ)は人を救うことこそ仏の道、とスンニョが俗界に戻ることを許す。が、幸福もつかの間炭鉱で働きだしたヒョニューはあえなく事故死、もうけた子供も死産に終る。次に知りあった男は事故で両足を切断、同情して結婚するがまもなく世を去った。看護婦となったスンニョは、病院で運転手をしていた男やもめ、ソン・キサ(ユン・ヤンハ)と結ばれるが、彼が腹上死してしまう。男に尽くすことで仏の道に近づこうとしてきたスンニョは自らを襲う不幸の連続に進むべき道を見失い、再び尼僧院を訪ねるが、まさにその時ウンソン尼は息を引きとろうとしていた。ウンソン尼はスンニョに、たとえ汚辱にまみれても、強く、美しく生きよ、と言い残した。ウンソン尼の遺骨を抱いたスンニョは、新たに苦行の旅に出る。つらい道を、どこまでも……。
[c]キネマ旬報社