パン・ホン
陸文
1980年の全国優秀中編小説選評会で第一位に選ばれたシェン・ロンの『人到中年』(邦訳『人、中年に到るや』を原作に、若いころ文革の嵐に巻き込まれた世代がいま中年となって新たな苦悩を抱える姿を描く。監督は、孫羽と王啓明の共同で、王啓明は撮影も担当した。金鶏賞第三回作品賞を受賞。主演の潘虹は優秀主演女優賞を受賞した。
四十歳になる北京病院の眼科女医・陸文 (潘虹)には、夫の金属研究所研究員・付家杰(達式常)との間に二人の子供がいる。学校を出てから十八年間というもの、祖国の医学発展のため働きづめであまりに疲れていた。その日も午前中に三つの手術をし、昼には自分の子供の病気の世話で、ついに心筋梗塞で倒れてしまう。彼女は病床で、若かった日に患者だった夫と結ばれたいきさつ、文革の暴動の中で若いインテリとしてもまれたことなどを回想する。病床にある時親しくしていた、医師の姜亜芬(趙奎娥)が家族とともにカナダに移住することになった。文革の時代にはられたレッテルの社会的圧迫に抗しきれないのだという。陸文 はそんな、知識人の海外流出の現実を見つめながら病気の回復を待ち続けるのだった。
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