
モハマンド・ベイル・ヘルワーニー
アブー・カイース
イスラエル建国で故郷を失い難民となってヨルダンにいるパレスチナ人たちが、仕事を求めてイラクを通り、産油国クウェートに密入国しようとする様を描くシリア映画。原作はガッサン・カナファーニーの『リジャール・ファツ=シャムス』(邦訳『太陽の男たち』、『現代アラブ小説全集』第七巻所収)。監督・脚本は、エジプト映画界出身のタウフィーク・サーレフ。
クウェートへ行けば大金が稼げると言われ、中年男のアブー・カイース(モハマンド・ベイル・ヘルワーニー)はその気になる。彼は、抵抗運動で逮捕されたことがありヨルダンにいては危険な青年アスアド(バッサーム・ルトウフィ・アブー・ガザーラ)や、父親が家族を捨てて金持ちの娘と再婚したため残った家族の面倒を見なければならない少年マルワーン(サラーハ・ハルキー)らと共に、イラク経由でクウェートに行こうとした。三人の密入国を請け負ったのは、カイースと同郷の、給水車の運転手アブー・ハイズラーン(サナーア・デブシー)で、ハイズラーンの給水車が空車でクウェートに帰るのに便乗させてもらう。国境の検問所では焼けるように熱くなったタンクの中に隠れることになり、最初のヨルダン-イラク間は何とか通過した。次のイラク-クウェート間では、入国管理官がハイズラーンをからかううちに時間がたって、中の三人は蒸し焼き状態で死んでしまう。ハイズラーンは死体を砂漠のゴミ捨て場に捨てて逃げ去るのだった。
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