エミル・ホーヴァス
セルバダック
「悪魔の発明」で知られるカレル・ゼマン監督のファンタスティックな色彩トリック・フィルム。ストーリーの展開は破天荒を極めるがつじつまなど一切気にせず、壮大なホラ話が次々と展開して行く。映像も随所にこだわりの跡が見える。銅版画を用いた背景はもちろん、ダークトーンがパステル調にかさなる色彩美、恐竜の登場するところのSFXなど惜し気もなく高度なテクニックが使われている。また、79年テヘラン国際児童映画祭グランプリ、パリ国際ファンタスティック映画祭特撮賞ほかを受賞している。
1888年、フランス領アルジェリアに中尉のセルバダック(エミル・ホーヴァス)は派遣されて来た。ある日、誤って海へ転落した彼を、アルジェリア(マグダ・ヴァシァリヨヴァ)というスペイン人の娘が助ける。彼女は海賊に誘拐されて来たという。スペイン総督が海賊を利用してフランス領を奪おうとしているのだ。スペイン軍の攻撃が始まるその時、接近してきた謎の天体に何もかも吸い上げられてしまう。そこは恐竜が歩き回る奇妙な世界だった。
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