オレーグ・ヤンコフスキー
ワシーリー・ボズドヌイシェフ
レオ・N・トルストイが1889年に発表した同名小説の映画化。
夜汽車で中年の紳士ワシーリー・ボズドヌイシェフ(オレーグ・ヤンコフスキー)が相客(アレクサンドル・トロフィーモフ)に波乱の半生を語り始める。放蕩に明け暮れていた彼が30歳を越えて結婚したリーザ(イリーナ・セレズニョーワ)は没落地主の娘で、愛くるしい女性だった。5人の子供が生まれ、よそ目には優しい夫であり良き父親と写ったが、二人の間には深い溝ができていた。夫の旧友でパリ仕込みの伊達男、ヴァイオリニストのトルハチェフスキー(ドミトリー・ポクロフスキー)が邸に出入りするようになり、ある夜、トルハチェフスキーとリーザがデュエットで奏でるクロイツェル・ソナタを聴いた時、ワシーリーは妻への疑惑を抱いた。その後、怒りにかられたワシーリーは妻を刺す。息たえだえの妻を前に、彼は初めてこれまでの生活の無意味さを悟り、許しを乞うのだった。
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