地下の民:映画作品情報・あらすじ・評価|MOVIE WALKER PRESS 映画
地下の民
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地下の民

1990年10月24日公開、125分
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ホルヘ・サンヒネス監督を代表とするボリヴィアの映画製作配給組織ウカマウ集団による長篇。ボリヴィアの先住民族アイマラ人の「死の踊り」をモチーフに、民族的アイデンティティの喪失と再生の物語を、軍事クーデターという80年代の現実を背景に描いた話題作。過去と現在が複雑かつ微妙に交錯する、不思議な味わいをもった作品である。監督は「第一の敵」「ただひとつの拳のごとく」などのホルヘ・サンヒネス。ウカマウ集団での長編第7作目にあたる。製作資金の一部が、日本の観客からのカンパによって構成されている。スペイン・サンセバスチャン国際映画祭でグランプリを受賞している。

ストーリー

ボリヴィア高原出身のアイマラ人セバスチャン・ママニ(レイナルド・ユフラ)は、ラパスで子供用の棺桶を作ることを生業にしている大工だった。彼は、永年離れていた故郷の村ウィルカニに戻る決意を固めるが、帰郷の準備を進めていたその日、ラパスでは軍部によるクーデターが勃発、中心街では銃撃戦が始まった。出発の前夜、セバスチャンのもとを大工仕事の手元の若者が訪ねた。別れの酒を飲みながら、セバスチャンは今回の帰郷が、もはやラパスに戻ることのない旅であることを告白する。彼は故あって村を追放された身で、そこに戻ることは村の掟からすると石責めによる死を意味していたからだ。一方、ウィルカニでは、セバスチャンの妻バシリアや、弟のビセンテを含め、農民たちが鉱山地帯へ駆けつける準備をしていた。鉱山地帯からのラジオ放送が、軍事クーデターに抵抗するための共同闘争を農民に呼びかけていたのだ。「死の踊り」を意味する大きな仮面を背負って帰郷の旅路を急ぐセバスチャンは、その途中で何度も、自分の人生の岐路となった事件を回想する。幼い頃、大農園主のもとに奉公に出されることで、自らのアイデンティティを喪失するきっかけとなったこと、インディオであることを恥じ、苗字まで変えたこと、内務省に入りテロ要員として反体制活動家の家を襲い、殺害することに加担したこと、そして、いったん村に戻り人望も集めて村の長に選出されながら、アメリカからの援助品を横領したり、ある年の軍事クーデターの際に抵抗のために道路封鎖の呼びかけを受けながら「参加したらアメリカの援助が打ち切られる」と言って独断で握りつぶしたこと、そのために村から追放されるに至ったこと。こうしてセバスチャンの孤独な帰郷の旅は続き、ウィルカニの農民たちのクーデター阻止のための集団的な旅も続いていく。やがてセバスチャンはウィルカニに着くが、村には老人と子供しか残っていなかった。村の長老のタンカラはセバスチャンの突然の帰郷に驚くが、彼の「罪を償いたい」という気持ちにうたれる。セバスチャンは広場で「死の踊り」を踊り始めた。クーデター阻止のため死者まで出して村に戻ってきた若者たちはセバスチャンに責め寄るが、タンカラは彼を守ろうとする。セバスチャンは償いの踊りを踊り続け、ついに地に伏して、倒れるのだった。

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作品データ

原題
La Nacion clandestina
製作年
1989年
製作国
ボリビア
配給
「第一の敵」上映委員会
初公開日
1990年10月24日
上映時間
125分
製作会社
ウカマウ集団


[c]キネマ旬報社