ヤコブ・キャッツ
Suen
時空を越え、不思議な体験をする少年たちの冒険物語。監督は本作が初の本格的長編となるオーケ・サンドグレン、撮影はダン・ローステンが担当。
コペンハーゲンの郊外、ヴァルビィ村に住む少年スヴェン(ヤコブ・キャッツ)はアマチュア無線に凝っており、その日も無線機の前に座り船員の父と交信中。途中雑音のため交信は遮られてしまったが、その音は理解できない言葉で何か歌っているようにも聞こえ、彼はその周波数を無線機に記した。スヴェンの母親は病気のために入院しており、彼は妹のハンナ(アマリー・アルストループ)の面倒も見なければならなかったのだが、それはなかなかやっかいな事であった。そんなある日、スヴェンは再びダイヤルをあのマークに合わせると例の声が聞こえ、続いて大きな揺れが起こり、ドアを開けるとそこには幼いスヴェンや元気な母親の姿があった。彼は近過去へとタイムスリップしたのだった。現代へ戻って来たスヴェンは、親友のブー(トロエルス・アスムッセン)、憧れの女の子ペートラ(リナ・エングルンド)とトレーラーに集まり、無線機を取り囲んで例の声を待った。そして再び揺れとともにタイムスリップした先は、騎士が行き交う中世の世界だった。表に出た3人だったが、騎士に見つかりペートラがさらわれてしまう。現代に戻ったスヴェンとブーは学校にペートラが来ていないことを確認。一方、彼女の両親はアメリカへの引っ越しがいやで家出をしたのだと考えていた。ペートラを救出するため2人は再び中世行きを決意、トレーラーには仲間はずれにされスネていたハンナも隠れていた。救出に成功したのも束の間トレーラーは姿を消しており、捕えられてしまう。騎士らの手を逃れた3人は、トレーラーの跡を辿り礼拝堂へと導かれた。そこにはトレーラーと神のように祠られているハンナの姿があり、4人は無事現代へと戻って来たのだった。
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