シェン・ロン
明桃
イエ・ウェイリンの短編小説『五個女子和一根縄』を原作に、中国解放前の貧しい寒村に生まれ育った5人の少女の集団自殺を描く青春映画。監督は『寡婦村』(未)のワン・チン、脚本はフー・モンファン、撮影はチャオ・シャオシ、音楽はワン・シーが担当。91年モスクワ国際映画祭で特別賞と映画クラブ国際審査委員賞を受賞。なお、同じ原作が台湾で『ファイブ・ガールズ・アンド・ア・ロープ』(91/葉鴻偉監督、91年東京国際映画祭ヤングシネマ1991コンペティション・シルバー賞受賞)として映画化された。
中国解放前、湖南省源河のほとりの寒村に、5人の少女が住んでいた。ある夜、川辺の“仙女”のほこらで、嫁入り前の淑雲と仙女のやりとりを盗み聞きした5人は、甘美な伝説を耳にする。嫁入り前に首を吊った少女の霊魂は、白い鳥となって天空の花園へ飛んでいき、幸福になることができる・・・。数日後、淑雲が首を吊ったことを知った5人は、お揃いの紅い服を着て、1本のロープにつながって、天空の花園に行くことを誓いあった。継母に決められた、肺病の男との結婚を目前にした明桃(シェン・ロン)、長生きしたことを悔む祖母の姿に、自分の運命を見る愛月(タオ・ホイミン)、酒乱の兄に殴られ、不倫に走った兄嫁が村中の人々の前で殴打されるのを見た荷香(チュイ・シュエ)、生まれて来る子供のために見殺しにされる産婦の姉の死に直面し、姉のかわりに義兄の元へ嫁がされる桂娟(チー・シュエピン)。彼女たちは深い苦悩の中にいた。再び仙女の話を聞いた5人は、明日の決行を決意する。仙女に、まだ若すぎると止められた金梅(チー・ホアチオン)は長いロープを懸命に編んだ。翌朝村はずれの廃屋に集まった5人は、花園を夢見ながら首を吊った。雲の中にそびえる山頂に向かって、5人の少女の花嫁行列がゆっくりと昇って行く・・・。
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