コン・リー
頌蓮
絶大な権力を持つ大地主の家に第4夫人として嫁ぐことになったヒロインの愛憎を描く。蘇童の小説『妻妾成群』の原作を「菊豆」の張藝謀が映像化。エグゼクティヴ・プロデューサーを「悲情城市」の侯孝賢と張文澤が手がける。製作は邱復生、脚本は倪震、撮影は趙非、音楽プロデュースは立川直樹が担当。
1920年代の中国。父親に先立たれ、貧しい生活をグチる義母との暮らしから抜け出すため、頌蓮(コン・リー)は19歳の夏、嫁に行くことになった。嫁ぎ先の先方はその地方の素封家で、頌蓮の前に第1夫人の大太太(チン・スウユエン)、第2夫人の卓雲(ツァオ・ツイフェン)、第3夫人の梅珊(ホー・ツァイフェイ)と3人の夫人がおり、それぞれ一院、二院、三院と呼ばれる住居に住んでいた。第4夫人となった頌蓮が住居として与えられた四院にはその日、内も外も赤い提灯が飾り立てられていたが、それは大旦那・陣佐千(マー・チンウー)の寵愛を得ることができるという印であった。だが初夜の日は、大旦那が床入りしてまもなく第3夫人に邪魔され、何事もなく終わった。次の日頌蓮はそれぞれの夫人に会うが、彼女の身の上にすっかり同情を寄せる卓雲に対し、舞台の人気女優だった梅珊は露骨に頌蓮に対抗意識を燃やしていた。この屋敷では、大旦那が絶対的な権力を持ち、何事も先祖代々のしきたりが優先され、夫人たちは彼の寵愛を得るためにのみ生きているようであった。召使いたちもそれは同じで、頌蓮にことごとく反発する雁兒(コン・リン)は時々大旦那に可愛がられているのだが、夫人になることを夢見る彼女の部屋には夥しい赤い提灯が灯されていた。ある日頌蓮が父の形見の笛がなくなったのに気がつき、雁兒を問い詰めて彼女の部屋に押し入った時にその光景を目にしたのだが、それよりも衝撃的だったのは頌蓮を呪った人形が見つかったことだ。人形に黒々と書かれている“頌蓮”の文字を無筆の雁兒が書けるはずもなく、だれが書いたのか問いただしたところ、あの愛想のよい卓雲であったことがわかり頌蓮はさらにショックを受ける。なくなった笛一本にこだわる頌蓮の気持ちがわからず大旦那は急に二院に泊まることにし、卓雲は喜ぶ。早くから卓雲の本心を見抜いていた梅珊は、彼女がこれまでも大旦那の寵愛を得るために手段を選ばなかったことを打ち明けた。やがて冬がやって来た。屋敷内は、頌蓮が妊娠したという知らせで沸き返ったが、それは彼女の狂言であり、彼女の下着についていた血痕を雁兒が見つけ、それを聞いた卓雲が不倫相手の高医師(ツォエ・チーガン)に診察させて嘘が発覚した。頌蓮は20歳の誕生日を迎えるが、大旦那に心を砕く卓雲や高医師との密会を楽しむ梅珊に比べやるせなく、ひたすらに酔うだけだった。そして酔った勢いで何げなく梅珊と高医師とのことを口にしてしまい、それが大旦那に知られ卓雲は捕らえられ首を切られることになった。一部始終を目撃した頌蓮はショックを受ける…… 。次の年の夏、屋敷にまだ少女の面影を残す第5夫人がやって来た。彼女の眼に、気のふれた頌蓮の痛ましい姿が映るのだった。
頌蓮
梅珊
陣佐千
卓雲
陣百順
雁兒
大太太
宋媽
点燈人
高医生
飛浦
監督
脚本
原作
製作
製作総指揮
製作総指揮
撮影
美術
録音
字幕
[c]キネマ旬報社