リー・レイ
民生(ミンション) おしゃべりっ子
貧困な農村地帯に生きる頭の回転が早くおしゃべりな少年が、親の不始末から村八分になった家で暮らすうち、口も重く閉ざすようになる様を描くドラマ。93年ヴェネツィア国際映画祭で国会議長賞を受賞した。監督は23歳の若さで『遠洋軼事』でデビューした劉苗苗で、本作は彼女の第4作にあたる。脚本は「双旗鎮刀客」の楊争光と劉苗苗、撮影は『14・5歳』の王久文が担当。出演は、王先生役の郭少雄が河北省の省徳話劇団の役者であるほかは、すべて撮影した寧夏自治区と西安映画製作所の地元の俳優が演じている。
大西北の貧しい寒村。“おしゃべりっ子”とあだ名される民生(李磊)は両親と兄・群生(袁勁)の平和な4人暮らし。彼は村唯一の小学生だ。ある日村長が民生の家を訪ねてきた。村政府の会計をやっている父さんが汚職で逮捕されたというのだ。村人たちの一家に対する態度に変化が現われ始めた。まず、兄の許婚者・燕麦(路暁安)の父親が結婚の取り消しを迫ってきた。しかし、村唯一のインテリ・王先生(郭少雄)の計らいで群生夫婦は無事に結婚した。子供たちの民生へのさげすみが強まる中、村長の孫で父親のいない典典(馬宗智)だけは民生と仲良くし、ある日王先生は自分の本当の父親だと告白したのだった。そんなある日、群生が父の借金を返却するために自分の新しいトラクターを社員(賈北冀)に売ろうとする時に民生が口を出し話をぶちこわした。怒った兄はトラクターを壊してしまう。春節が近づいた日、トラクターを失い出稼ぎに出ていた兄が村へ戻ってきた。兄は村のレンガを集め、爆竹を作り村の人たちに喜んでもらおうとした。兄嫁・燕麦も妊娠し、民生一家には平和が戻ったようだったが、怒られどうしの民生の口は重くなっていった。欝屈した民生は、雪に覆われた青竜山へみんなを登らせ、困らせようと企んだ。企みは成功し、騙された子供たちは砂金を取りに山頂へ向かっていった。だがその頃、民生の家では群生が爆竹作りの失敗から命を落とすという大事故が起こっていた。民生の母の配慮で兄嫁の燕麦を実家に帰そうとするが、村人たちは兄嫁に同情して、母を非難する。しかし、民生はいかに兄嫁が実家に帰った方が本人にとって幸せかと村人たちの前で説く。村人たちは民生の説得力ある言葉に感心する。その後、民生は成長して村で初めて大学に入ることができた。
民生(ミンション) おしゃべりっ子
群生(チュンション)
民生の母
燕麦(イエンマイ)
王先生
典典(ティエンティエン)
社員(シャーユアン)
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