アンドレイ・ジガーロフ
Kolia
退屈さのあまり何気なく口をついて出た作り話が元で、実際に遠方へ旅立つ羽目になった青年と彼を取り巻く人々の交流を、ユーモアとペーソスあふれるタッチで描いた小品。監督は、本作が本邦初紹介となるニコライ・ドスタル。脚本はゲオルギー・ニコラエフ、撮影はユーリー・ネフスキー、音楽はアレクサンドル・ゴールドシュテインが担当。主演は本職がサーカスの道化師というアンドレイ・ジガーロフで、劇中歌『クラウド・ヘヴン』『僕の可愛い星』の作詞・作曲・歌も担当。共演はセルゲイ・バターロフ、イリーナ・ローザノワ、アーラ・クリューカほか。91年ロカルノ国際映画祭銀豹賞ほか4賞、ラ・ボール・ヨーロッパ映画祭グランプリ、ジュネーブ映画祭審査員賞特別賞受賞。
ちっぽけなロシアのいなか町。コーリャ(アンドレイ・ジガーロフ)は退屈さのあまり、皆にとりとめのないことを話しかけるが、誰もかまってくれない。知人のフェージャ(セルゲイ・バターロフ)と妻のワーリャ(イリーナ・ローザノワ)を訪ねたが、話ははずまない。気詰まりを感じたコーリャは、つい「友人に呼ばれて極東で仕事につくんです」と口を滑らせてしまう。驚いた夫婦に問い詰められるうちに嘘が嘘で塗り固められ、コーリャは今日旅立つことになってしまう。生活の変化や刺激などない町の住人たちの間にニュースは広がり、ついさっきまで疎まれていたコーリャは、一躍町の人々の希望の星に。餞別代わりの旅行用トランクが用意され彼の部屋には皆が集まり、お別れパーティが開かれる。コーリャを温かく祝福する人々は酔った勢いで地球儀を回し、広い世界へ夢をはせる。今やコーリャの嘘は皆の共通の夢にまで膨らんでしまった。そこへ彼が思いを寄せるナターシャ(アーラ・クリューカ)が現われる。2人の仲はうまくいってないが、彼がいなくなると聞いてナターシャはセンチメンタルになる。彼は留まりたかったが、彼女との意地の張り合いで、結局旅立つことに。コーリャは自分の運命を嘆き、ギターを爪弾きながら歌う。出発の時が近づき、皆は歌いながらコーリャをバス停まで送る。ナターシャも泣きながらやって来た。夕焼けの中、バスに乗った彼は、皆に見送られながら町から旅立った。
Kolia
Fedia
Valia
Natalia
Tatiana_Ivanova
Filomeiev
監督
脚本
製作、撮影
音楽
美術
編集
録音
字幕
[c]キネマ旬報社