パウリーナ・ガルヴェス
Mira
内戦下のタジキスタン共和国の首都ドゥシャンベを舞台に、モスクワ育ちで西洋風の教育を受けた娘と、タジキスタンの保守的な社会で育った青年とのぎこちなく、瑞々しい愛を綴ったラブ・ストーリー。「少年、機関車に乗る」に続く、バフティヤル・フドイナザーロフ監督の長編第2作。撮影中の92年9月に内戦が勃発し、スタッフ・キャストは戦時下という異常事態の中で撮影を敢行、その緊張感に満ちたドキュメンタルな要素と人間ドラマの融合も特色の一つ。製作は、監督とクリスタ・サレディ、堀越謙三の共同。脚本は、監督とレオニード・マフカーモフのオリジナル。撮影のゲオルギー・ザラーエフ、音楽のアフマド・バカエフ、美術のネグマト・ジュラエフら主要スタッフは前作と同様。主演はスペインの女優パウリーナ・ガルヴェスと、ドゥシャンベ出身の俳優ダレル・マジダフ。93年ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞受賞。2023年6月3日(土)よりユーロスペースほか全国にて、4K レストア版を上映。
タジキスタンの首都ドゥシャンベは内戦の最中。気の抜けたような砲撃音を尻目に路上で賭博に興じる男たちの中に、ダレル(ダレル・マジダフ)やドナイ(ボホドゥル・ジュラバエフ)がいる。全財産を巻き上げられたドナイがアパートへ戻ると、ずっとモスクワで母親と暮らしていた娘のミラ(パウリーナ・ガルヴェス)がいた。だが、若く美しい娘を借金のカタにする父親に激怒したミラは、部屋を飛び出す。ロープウェイの操縦士をしているダレルは彼女を慰めるが、ものの弾みで彼らは一夜を共にする。翌日、2人はダレルのロープウェイ小屋へ。女連れの男がロープウェイを借りて空中での情事とシャレこめば、男の妻が現われて夫婦喧嘩に発展。一方、ミラが丘から町を眺めると、照明弾や砲撃の火の手は花火のように美しかった。ダレルはロープウェイのオーナーのボボじいさんたちと組んでトラックに積んだビールを釣り上げたり、ロープウェイ内でフルコースの食事を用意した。都会育ちのミラにとってダレルは驚きであり、恋の駆け引きなど知らない彼はただひたすら、彼女の愛を得るために直進する。2人は次第に愛し合うが、周囲の環境が違いすぎた。ミラはダレルの家族に紹介された夜、息が詰まりそうになり戒厳令下の町に飛び出す。ダレルにミラを連れて出るように頼みに来たドナイは、ロープウェイの中で心臓発作に襲われ、息を引き取る。ミラは、ダレルがあれほどやらないと約束した賭博をしたことを知り、町を出る決心をした。ダレルの父に車で送ってもらった彼女は「この町に来たのは父の死を看取るためだったのね」と呟くが、ダレルの父は「いや、鼻が長くぶきっちょだが、君を心から思ってる男に出会うためさ」と答える。2人の乗った車の後を、自転車に乗ったダレルがいつまでもいつまでも追い続ける。
Mira
Daler
Ibrohim
Henriy
Bolta
ミラの父親(ドナイ)
ダレルの母親
ロープウェイの客
ボボじいさん
監督、脚本、製作、編集
脚本
製作
製作
撮影
音楽
美術
衣装デザイン
衣装デザイン
録音
字幕